厚生労働省は10日、事業の無駄を自ら洗い出す「行政事業レビュー」を実施。医政局研究開発振興課の「ベンチャー企業支援のための治験等相談事業」を、相談件数の少なさなどから「直ちに廃止」、医薬食品局監視指導・麻薬対策課の麻薬等対策推進費(広報経費)が、他省庁と事業が重複することから、「事業は継続するが、さらなる見直しが必要」と判定した。判定結果は、来年度の予算要求に反映される。
ベンチャー支援事業は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による治験相談のほか、ベンチャー企業に対して医薬品・医療機器の開発に係る薬事法に特化した相談を行っている。PMDAへの委託事業で、「医薬品等試験調査委託費」として昨年度は5100万円、今年度は3500万円の予算を計上している
研究開発振興課の千村浩課長は、薬事法に特化した相談が、企業ニーズと一致しなかった反省を踏まえ、臨床研究に関する倫理指針や高度医療評価制度に関する事項も、相談範囲に加える改革案を提示。相談件数を増やすため、相談を受けるベンチャー企業の条件(創立10年未満)の撤廃なども提案した。
外部有識者からは、2年で10件という相談件数の少なさから、事業継続を疑問視する声があがったほか、PMDAが行っている治験相談事業に組み入れることを求める意見が出た。
また、常勤の相談員を2人雇っていることについても、相談の前に行う電話対応が何件あり、そのための下調べや調整に、どれだけの時間がかかったのかを示すべきといった意見が出た。
一方、監視指導・麻薬対策課の「麻薬等対策推進費」では、ポスターやパンフレットの配布、キャラバンカーを活用した薬物乱用防止の普及活動を行っている。同課は、パンフレットの内容充実や、キャラバンカー内に設置している啓発資材を改良するなどの改革案を提示。また、より効果的な普及啓発を行うため、全国6地区で開催している麻薬・覚せい剤乱用防止地区大会の議事・運営を見直す方針も示した。
外部有識者は、薬物乱用防止という事業の重要性は認めつつ、事業の効果や効率性を疑問視した。同様な事業は文部科学省や警察庁などでも行われており、重複して実施することの非効率さが指摘された。また、配布されたパンフレットの効果も問題視された。
監視・指導麻薬対策課の國枝卓課長は、アンケート調査を行い、教育現場でどのように有効活用されているか、実態把握に乗り出す考えを示した。
さらに有識者からは、薬物乱用防止教育のため、8台のキャラバンカーを中学・高校などに派遣する活動について、「子どもたちに確実に伝えるためには、何台必要なのかを把握した上で、取り組むべき」などの意見も出た。