更年期女性へCaと大豆イソフラボン配合
サンスターは、オーラルケアの主力ブランド「G・U・M」から、特に更年期以降の女性の歯ぐきケアに向けて、カルシウムと大豆イソフラボンを配合した特定保健用食品「オーラルヘルスタブレット カルシウム&イソフラボン」を新発売した。これまで虫歯予防分野での特保はあったが、『歯を支えるハグキの健康を保つ食品』として、初めて歯周病予防分野で特保の許可を取得した。同社では今回の特保を含め、新規カテゴリー・新規ターゲット層を拡大し、今後のG・U・Mブランド強化につなげていく。歯周病予防関連ということで、当面は全国の歯科医院を中心に販売していくが(同社通販サイトも含む)、将来的にはドラッグストアなど小売ルートでの取り扱いも検討するという。
女性ホルモン(エストロゲン)分泌量が減少する更年期以降の女性は、骨形成と骨吸収(骨の破壊)を繰り返す骨の代謝バランスが崩れ、骨密度が低下しやすくなる。最近の研究では、骨密度の低下は、歯を支える歯槽骨にも影響し、歯が抜けるなどのリスクを高めることが分かってきた。特に女性では、ホルモンバランスの変化に伴い、思春期や妊娠期に歯肉炎にかかる割合が高まったり、更年期以降になると骨粗鬆症のリスクが増加すると共に、歯周病のリスクも高まるという。
サンスターでは、全身疾患と口腔ケアの関連についての情報発信を行うと同時に、「従来の口腔衛生商品だけでは十分でなく、体の中からも歯周病予防に効果のある商品が必要と考え、研究を進めてきた」(白川英一オーラルケア事業部商品開発部長)。その一つとして05年から、大豆イソフラボンアグリコンを配合した栄養機能食品を、歯科医院向けに販売している。
新発売の「オーラルヘルスタブレット カルシウム&イソフラボン」は、科学的エビデンスに基づいた食品として、申請から6年を経て特保の許可を取得した。関与成分(1日摂取目安の2粒当たり)は、カルシウム500mg、大豆イソフラボンアグリコン10mg。カルシウム素材は、北海道産のホタテ貝殻未焼成カルシウムを使用。大豆イソフラボンは、配糖体(グルコシド型)に比べ腸管からの吸収に優れるアグリコン型を用いた。
関与成分のカルシウム(Ca)と、大豆イソフラボンアグリコン(IFA)の組み合わせが、歯を支える歯槽骨の骨密度の増加と、骨吸収(骨が破壊されて減る)の抑制に働くのが特徴といえる。
臨床成績では、閉経後2年以上経過した歯周治療のメンテナンス期女性48人を対象に、Ca500mg、IFA10mgを含有したタブレットを12カ月摂取してもらったところ、プラセボ群に対してCaおよびIFA併用群では、歯槽骨骨密度の顕著な増加が認められた。
また、閉経後1年以上経過した歯周治療のメンテナンス期の女性77人を対象に、Ca500mgとIFA10mg含有タブレット、Ca500mg含有タブレット、IFA10mg含有タブレット、いずれも含有しないタブレット(プラセボ群)の4群に各12週間摂取する検討も行った。その結果、歯槽骨吸収量の変化率はプラセボ群が6・4%に対し、Ca群2・4%、IFA群1・6%と、明確な差が示されたが、CaおよびIFA併用摂取群は0・2%と、歯槽骨吸収抑制で顕著な効果が示されたという。
税込み販売価格は、歯科医院向けが18粒×6個入り5670円、90粒入り3544円、通販向けが90粒入り5250円。
同社のG・U・Mブランドは89年に発売され、国内売上は200億円(08年)規模となり、オーラルケア市場でNo.1ブランドとなっている。特に発売当初は、「歯周病」を認知している人は1割にも満たなかったが、約20年後には9割を超える認知度となっており、歯周医学に基づく先進情報発信が消費者の意識を啓発すると共に、市場の拡大も牽引してきたといえる。
一方で、7割以上の人が歯周病にかかっているという実態に対して、自分が歯周病だと自覚している率は、まだまだ低いのが現状。サンスターでは今月から、新たな啓発型TVCMを開始しており、引き続き歯周病と全身の関係に着目したコミュニケーション戦略を強力に推進していく考え。さらには、「今回のような閉経後の女性といった新規ターゲットの拡大と、医薬品や食品といった、既存領域にない製品カテゴリーも提供していきたい」(田中英治マーケティング部長)としている。