日本ケミファの山口一城社長は14日、都内で開いた記者懇談会で、2013年3月期にジェネリック医薬品(GE薬)の売上高300億円以上を目指す方針を明らかにした。GE薬の好調な売上を背景に、中期経営計画を上方修正したもの。自社GE薬比率を約50%に引き上げ、生産拠点の統合によって収益構造を改善し、GE薬の売上倍増を狙う計画だ。一方、バイオ後続品への取り組みについて、山口氏は「ハードルが高く、不透明な要素がある」と慎重な姿勢を示した上で、「販売は自社で手がけたいが、製造と開発は他社との提携を考えたい」との意向を示した。
同社は、GE薬の業績好調を背景に、12年3月期を最終年度とする中期経営計画を見直し、GE薬の売上高を当初計画の210億円から237億円に上方修正した。さらに、国内GE薬市場が7000億円規模に拡大すると予想し、13年3月期には売上高300億円以上を目指す方針を打ち出した。連結売上高は400億円、営業利益率12%以上を掲げた。
目標達成に向け、12年3月期までに年間15品目を開発できる自社体制を構築。28成分51品目の新製品を上市し、GE薬売上高に占める自社品比率を約50%に引き上げることで、品揃えを強化する。山口氏は「新製品のほとんどは自社品となる」と述べ、自社開発体制の構築を急ぐことで、利益率の向上を目指す考えを示した。
生産体制では、日本薬品工業を完全子会社化した上で、同社の茨城工場を分社化。5年後をメドに両社の生産拠点を統合し、高品質でコスト競争力のある製造拠点として、効率化を図る計画だ。また、汎用品目の品揃えの充実、適正な販売価格の維持など、営業体制の強化も進めるが、山口氏は「MRは大きく増やすことは考えていない」と述べ、現有260人強のMR体制を維持し、生産性向上に取り組む方針を示した。
また、注目されるバイオ後続品への取り組みについて、山口氏は「設備投資や開発コストが大きいため、ハードルは高い。現状では製造・開発ノウハウがないため、独自で全てを行うことは考えにくい」との認識を示した上で、「販売に関しては、新薬の経験を生かして手がけていく。製造・開発は他社との提携を考えたい」との方針を表明。具体的には1社との提携ではなく、製造・開発のバリューチェーンごとに、複数社と提携する可能性もあり得るとした。
探索研究で新化合物‐尿酸降下薬を導出へ
一方、山口氏は、将来的な成長戦略として、3番目のミッションと位置づける自社新薬の探索研究で、新たに尿酸降下薬「NC‐2500」の導出を目指していることを明らかにした。既に、カテプシンK阻害薬「NC‐2300」、PPARδ阻害薬「NC‐2400」を米・仏ベンチャーに導出しているが、山口氏は「国内GE薬市場は、10年以内に成熟してしまうのではないか」との見方を示し、「GE薬の利益率が厳しくなってきたときに、何とか自社新薬が貢献できるようにしたい」と語った。