中央社会保険医療協議会は25日、公知申請に係る薬事・食品衛生審議会の事前評価が終了した適応外薬を、薬事承認前に保険適用することを了承した。「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、公知申請が可能と判断されていることが条件で、企業が独自に審査当局と相談して公知申請を行う場合には、従来と同様に評価療養の対象にはなるが、薬剤費は全額自己負担となる。30日に告示改正し、新制度を創設する予定だ。
新たな適応について、臨床試験を省略できる公知申請の対象となるのは、既に別の適応で承認され、薬価基準にも収載されている医薬品で、基本的には未承認薬は該当しない。そのため診療側からは、「本当にドラッグラグ解消につながるのか」との疑念が浮上した。
診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「未承認薬も同じように対象とすべき」、嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)が「(未承認薬のうち)抗癌剤だけでも公知申請に持っていけないか」と述べた。しかし、未承認薬の国内導入については、新薬創出・適応外薬解消等促進加算を受けたメーカーの対応を注視しながら、いわゆる「55年通知」の運用見直しと共に、引き続き検討していくことで落ち着いた。
「新ルール」によって、薬事承認前に保険適用保険適用となっても、薬事法上は正式に認められていないため、原則として医薬品副作用被害救済制度の対象にはならない。ただ、医学薬学的に妥当な使用とされるため、もともと除外されている抗癌剤など以外は、個別判断で多くが救済されると見込まれる。
第一弾としては、3日に検討会議で報告書をまとめた5成分のうち、化学療法後に増悪した卵巣癌に対する塩酸ゲムシタビンなど2成分が、26日の薬食審医薬品第1部会で評価を受け、制度創設を待って適用する。治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対するカペシタビンなど残る3成分も、30日の同第2部会経て適用される見通し。ゲンムシタビンの場合、現在は全額自費で1日当たり約4000円かかっている薬剤費が、一部負担で済むようになる。