厚生労働省の医政局総務課長、医薬食品局総務課長、同安全対策課長は15日付で連名通知を発出し、高齢者のPTP包装シート誤飲を防止するために、調剤・与薬時などで不必要にシートを1錠ずつ切り離さず、端数が生じてやむを得ず切り離す際には、十分指導することなどを、都道府県を通じて医療機関、薬局に求めた。国民生活センターが同日にまとめた報告書を受けた対応で、安全対策課長からは、日本製薬団体連合会にも通知し、誤飲防止の注意喚起とシートの改良・改善の継続を要請した。
国民生活センターの報告書は、「注意!高齢者に目立つ薬の包装シートの誤飲」とするもので、薬をPTPシートごと飲み込んで、喉や食道などを傷つけた事故が、2000年4月から10年9月までに86件寄せられたと指摘。同シートをめぐっては、96年の製薬業界の自主申し合わせで、ミシン目を一方向のみにし、細かく切り離せない構造にすると共に、注意表示を増やすなどの対策をとった。また、98年には同センターでも注意を喚起した。
しかし、同センターによると、「その後も依然として誤飲事故は後を絶たない。事故は薬を服用する機会の多い高齢者に、多い傾向が見られる」という。さらに、飲み込んでしまったシートは、自力で取り出すことが難しい上、X線写真にも写りにくく、内視鏡を使って取り出すことになり、身体的負担も大きいとし、今回、改めて報告書を公表した。
3課長通知では、医療機関や薬局から家族・患者に対し、可能な限り1錠ずつ切り離さずに保管し、使用時にシートから薬剤のみを押し出して服用するよう、必要に応じて指導する必要性を示した。
また、高齢者や誤飲の可能性のある患者、自ら医薬品の管理が困難な患者については、家族ら介護者に、服用時の見守りなどの注意喚起を行うほか、必要に応じて一包化処方を検討するよう、医療機関に依頼。薬局でも一包化調剤を検討し、必要に応じて医師に照会するよう求めている。