アステラス製薬と製品評価技術基盤機構(NITE)はベトナムで新規微生物を探索し、産業利用につなげる産官共同プロジェクトを開始した。期間は2013年10月までの3年間で、NITEがベトナム政府と構築した、遺伝資源の利用や利益配分に関する協力関係の枠組みに、アステラスが参加し、新規化合物の創製につなげたい考え。
アステラスは05年から、ベトナムでNITEと微生物の共同探索に参加し、約1万3000株の微生物を発見した実績がある。今回、ベトナムで発見した微生物が、新たな化合物を探索する上でのスクリーニング源として有用性が高いと判断。NITEが構築した枠組みに参加し、新規微生物の探索を本格的にスタートすることになった。
今後アステラスは、NITEと共同して、ベトナムで創薬に有用な微生物の探索・収集・分離を行う。さらに分離した微生物について、日本国内で新薬の候補化合物となる「リード化合物」の発見につなげる。研究成果が特許登録や商品化に至った場合には、ベトナム政府に収益の一部が還元される。
NITEは、戦略的に微生物の収集・保存・提供を行う政府の生物遺伝資源機関。海外で収集した微生物を産業界に提供する一方、新規微生物を探索したい企業ニーズに対応し、インドネシア、モンゴル、ベトナムなどの、アジアの資源保有国と生物多様性条約に則った協力関係を構築している。