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【中医協検証部会】後発品使用は頭打ち状態‐医師の抵抗感が浮き彫りに

2010年12月10日 (金)

 厚生労働省は8日、2010年度後発品調査の速報結果を、中央社会保険医療協議会の「診療報酬改定結果検証部会」に提出した。薬局の数量ベース後発品調剤率は、1月の19・6%から6月の23・0%まで上昇したが、7、8月とも22・8%にとどまり、委員からは「期待したほどの広がりがない。じわじわ伸びていたが、やや頭打ち」との意見が出た。ただ、「ボトルネック」とされていた薬局では、患者への説明等で改善が見られた。一方、医師や患者の後発品に対する抵抗感が改めて浮き彫りになった。

 薬局の応需処方せんのうち、後発品への変更が不可能なものは、前回を1・5ポイント上回る33・0%で、後発品銘柄指定が14・1%だったため、遠藤久夫委員(学習院大学教授)は、「(医師の)実質2割位が後発品を使いたくないということか」と解釈した。

 また、変更可能処方せんのうち、1品でも後発品を調剤した処方せんは44・7%で、先発品を後発品に変えたのは3・1ポイント増の8・6%となった。患者の希望で変更できなかったものは25・6%で14・9ポイント増えた。

 薬局の取り組みでは、後発品調剤に「あまり積極的に取り組んでいない」が24・0%を占めるものの、前回より9・2ポイント少なく、主な理由は、近隣医療機関が消極的なことや、後発品の備蓄に伴う在庫負担だった。

 後発品の説明と服薬・副作用発現の確認は43・0%で実施しており、6・4ポイント増加。薬を取り揃える前に後発品の説明を行うケースが増えた。

 後発品を説明したにもかかわらず患者が希望しなかった理由は、「薬を変えることに抵抗があった」の28・0%が最多で、後発品を先発品に戻した理由では「使用感が合わなかった」の29・7%が多かった。

 規格変更調剤導入の影響も調べた。「在庫がなく後発品に変更できないケースが減った」が39・0%、「後発品調剤が増えた」が22・8%などの効果が現れていた。「変更調剤を行ったことがない」も38・3%あったが、7割強は処方銘柄の在庫があったためだった。

 一方、医療機関の状況を見ると、後発品の備蓄は、診療所が全医薬品の2割程度で、病院の1割強を上回ったが、病院の67・4%は後発品の備蓄品目数の拡大を予定していた。

 入院で後発品を「ほとんど使用しない」は、診療所22・1%、病院8・5%で、長く使っている銘柄を信頼しているとの理由が最も多かった。入院患者で発生した問題では、「供給体制」が50・7%で過半に達した。

 外来では「後発品を基本的には使用しない」は、診療所が14・6%、病院が9・2%で、理由は「品質への疑問」が約8割、「効果への疑問」が約6割、「副作用への不安」が約5割となっている。

 患者の後発品認知度は73・9%、保険者が配布する「ジェネリック医薬品希望カード」の認知度は36・0%で、いずれも国民健康保険加入者で低水準。患者が重視する観点は「効果」「副作用が少ない」「窓口支払い」「医療費節約」の順で多かった。

 関原健夫委員(日本対がん協会常務理事)は、「一番大きいのはクオリティの話。これを高めないといろんな意味でネックになる」とし、森田朗委員(東大大学院教授)は「後発品をひとくくりにしているが、将来的に仕分けも必要ではないか」と述べた。



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