日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は都内で会見し、今年1年間の活動報告と今後の事業計画などを発表した。寺西忠幸会長は、厚生労働省が実施した「一般用医薬品販売制度定着状況調査」で、チェーン店の高い定着状況が明らかになるなど、改正薬事法が月を追うごとに定着してきている点を強調し、今後も完全実施に向けてが取り組みを充実させたいとした。
今年を振り返り寺西氏は、「改正薬事法施行から丸1年が経過した年。新販売制度にわれわれも慣れていなかったし、国、生活者も慣れていなかったことで、スムーズにスタートが切れたとは言い難い」とした上で、「しかし、月を追うごとに新制度が定着しており、今後も完全実施に向けて取り組んでいきたい」との考えを強調した。
登録販売者に関しては、「最も基本的な教育という課題に取り組んでいる」とし、登録販売者協会の各都道府県支部が次々と設立されている動きにも言及した。「各県に支部ができつつあることによって、登録販売者の意識が少しずつ変わってきている。薬剤師と共にセルフメディケーションを推進していくことなど、登録販売者のあり方に対する自覚を持ちつつある」と述べた。
また、「グローバリゼーションの時代であり、社会の変化がある。特にアジアにおける日本という国のあり方も、非常に大きく変わってきた」と指摘。「アジアのドラッグストア発展に向け、友好関係の輪を中国や韓国、台湾にも広げることができた」と評価した。
今後の事業計画では基本政策として、▽セルフメディケーションの推進(スイッチOTC拡大、医師と薬剤師の連携への提案、薬剤師の職能拡大)▽業界内のインフラ整備(人材育成、資質向上、効率的流通システムの普及)▽豊かな社会実現に向けた建議(ドラッグストアの健康ステーション化の提案、健康産業発展の提案)--などを掲げている。
ポイント付与問題、各社に冷静な対応求める
また、JACDSの常任理事会では、調剤支払におけるポイント付与について意見が交わされた。宗像守事務総長によると、▽相互扶助という公的健康保険制度は、価格競争という市場原理には馴染まない▽ポイントの有無で被保険者の不公平感を招き、保険制度への不信感につながる▽調剤報酬改定議論に影響を与える可能性がある▽調剤報酬が大幅に削減されれば、ドラッグストアの面分業推進に逆行する--などの意見があったという。
こうした意見を踏まえ、JACDSとして、[1]調剤の一部負担金のポイント付与は否定しない[2]保険制度による国民医療の維持の観点から、各社の冷静で常識的な対応をお願いする[3]今後の調剤の進展状況を冷静に見つめ、適時、常任理事会で議論していくと共に、ブロック総会等を通じて、会員との意見交換を行っていく--との見解を発表した。