政府の行政刷新会議の事業仕分けで、医師確保、救急・周産期対策向け補助金について、診療報酬による手当てと重複する事業の廃止を含めた見直しを行う判定が出たことに、15日の中央社会保険医療協議会総会で不満が噴出した。
口火を切った国立がん研究センターの嘉山孝正理事長は、中医協として遺憾の意を表明すべきと主張。健康保険組合連合会の白川修二専務理事は、国費削減の理由に診療報酬が使われることに、「本末転倒はなはだしい」と不快感を示したものの、意見提出の実効性を疑問視して慎重姿勢を示したが、京都府医師会の安達秀樹氏は「補助金と診療報酬は性格が違う」「「遺憾であるとストレートに申し上げておかないと、政権与党の腰骨が定まらない」と強調した。
普段は中立的な立場で診療報酬論議に参加している公益委員の小林麻里早稲田大学大学院教授も、「医療費は国家的な優先順位が高く、社会保障の問題は避けて通れない国家の重要課題。それを事業仕分けの対象にするというのは、政府の見識が問われる」と批判した。
最終的に遠藤久夫会長が、「次回、皆さんに諮って、中医協としてメッセージを作成する方向にしたい」と収拾した。