大塚ホールディングス(HD)は15日、東京証券取引所市場第1部に上場した。上場により、市場から約1600億円の資金を調達し、医薬品や輸液を手がける医療関連等の事業に投資していく方針だ。都内で記者会見した樋口達夫社長は「大型買収より、われわれのプラットフォームに必要な部分への投資を行いたい」と語った。
大塚HDは、医薬品等の「医療関連事業」と機能性食品等の「ニュートラシューティカルズ事業」を二本柱に、ヘルスケア事業を展開してきた。特に医薬品分野は抗精神病薬「アビリファイ」を中心に、グローバル展開を推進。既に海外売上高比率が56%に達しているが、将来的な成長を確保するためには、M&Aを含めた選択肢が必要と判断した。
樋口氏は「次の成長のためには、自立的成長のみならず、M&Aを含めた選択肢を広げる必要がある」と上場の狙いを強調。短期的に資金を調達し、「大型買収ではなく、必要な部分に投資していきたい」との考えを示した。
これまで医薬品分野では、中枢神経領域、癌領域中心の製品展開、パイプライン構築を進めてきたが、樋口氏は「調達した資金を使い、医療関連とニュートラシューティカルズを両軸に成長させたい」と述べ、医薬品の研究開発に偏らず、あくまでもヘルスケア事業全体で投資方針を考えていくとした。その上で、「ここ数年は、医薬品6割、ニュートラシューティカルズ3割という形で成長させるイメージを考えている」と方向性を語った。
今後、グローバル研究開発では、エビリファイの後継品と位置づけ、欧米第II相試験中のドパミンパーシャルアゴニスト「OPC‐34712」に最注力する。