
湘南研究所
武田薬品は19日、藤沢市の旧湘南工場跡地に建設していた湘南研究所を竣工した。大阪十三とつくばの研究機能を統合し、グローバル研究体制の中核を担う国内最大の研究所として、アンメットメディカルニーズの高い新薬創出を目指す。10月の本格稼働に向け、約1200人の研究者が湘南研究所に集結する予定。海外からも研究者を呼び込み、自社創薬研究にとどまらず、大学やベンチャーなどの外部研究機関と、共同研究を積極的に行っていく考えだ。
湘南研究所は、疾患領域ごとに動物棟、生化学実験棟、化学実験棟を設置した機能的なレイアウトが特徴。縦の動線では中間階に面談室、横の動線ではメイン通路に会議室や多目的室を配置し、同じ疾患領域の生化学研究者、合成研究者が向かい合わせの実験棟で研究を行うことによって、密接なコミュニケーションが可能になった。
取締役研究開発統括職の大川滋紀氏は、「武田薬品の研究の総本山」と位置づけ、「大学やベンチャー、海外研究機関とも連携して、肥満・糖尿病・癌・アルツハイマー病・統合失調症など、アンメットメディカルニーズの高い新薬創出を目指して、研究を進めたい」と話した。今後、外部研究者に湘南研究所の一部をインキュベーターラボとして活用してもらい、世界中のアイデアを結集することで、患者ニーズに合わせた新薬開発を加速させたい考えだ。
19日の竣工式で長谷川閑史社長は、「アンメットメディカルニーズを満たす新薬を少しでも早く、多く作り出すことにより、地域の住民、自治体の皆さんに、誇りに思っていただける研究所にしたい」と決意を新たにした。また、来賓としてあいさつに立った神奈川県の松沢成文知事は「湘南研究所は、地元にとっても大変な財産になる。ぜひ多くの県内企業とも関係を持っていただき、地域経済活性化のためにリーダーシップをとってもらいたい」と期待を述べた。
湘南研究所は地上10階建てで、敷地面積は約25万m2。総工費約1470億円を投じて完成させた。