厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」は、国内導入を促す品目として、▽末梢血管用カバードステント▽完全閉鎖式血液体外循環装置――の2件を新たに選定した。これによって、早期導入の対象品目は38件に増える。
ジャパン・ゴアテックスが輸入する末梢血管用カバードステント(製品名:ゴアバイアバーンステントグラフトシステム)は、腸骨動脈、浅大腿動脈における動脈瘤や、外傷性・医原性血管損傷に対する血管内治療に用いられる。
検討会ワーキンググループ(WG)の評価によると、動脈瘤の治療では、人工血管や自家血管を用いた置換術や、バイパスによる血行再建術などの一般的手法に比べ、治療に伴う合併症の発生率や、患者への侵襲低減につながる。
また、臨床現場で重篤な医原性血管損傷が出現し、外科的止血が間に合わないと判断した場合には、胆管用のカバードステントが緊急避難的に使用されていることから、同製品による速やかな止血が可能となれば、臨床上極めて有用としている。
同製品は、既に米国や欧州で承認されており、アジアの周辺諸国でも販売されていることを考慮すると、既存の臨床試験データの詳細を確認の上、早期導入に向けて迅速な対応を進めることが望まれるとしている。
セラコス社の完全閉鎖式血液体外循環装置(THERAKOSフォトフェレーシスシステム)は、皮膚T細胞リンパ腫における、同種造血幹細胞移植のステロイド抵抗性急性・慢性GVHDに用いる。
同製品は、既に早期導入が妥当と評価されているMacoPharma社の「THERAFLEXR-ECP」と同じ原理を用いており、患者血液の体外循環、単核球採取、紫外線照射、患者への再注入を統合し、完全閉鎖で一連の処理を行うことができるため、医療安全面からの評価が高い。
今後、この2品目については、企業と医薬品医療機器総合機構(PMDA)が協議しながら、承認申請の手続きを進める。
この日の部会では、学会などから早期導入の要望があった「電磁トラッキングシステム」(日本骨折治療学会)、「補助循環用血液ポンプカテーテルセット」(日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会)が早期導入の候補品目に選定された。これらの品目は、WGが行う評価結果を踏まえ、次回会合で早期導入の可否を判断する。