
ズルエッタ社長
日本イーライリリーのアルフォンゾ・ズルエッタ社長は2日、都内で記者会見し、過去最高となった2010年業績について、「国内製薬企業でトップの成長率を達成できた」と評価した上で、米本社が採用する事業本部制を国内にも導入したことを明らかにした。今後もグローバルで連携を強化し、2020年の国内トップ10入りに向け、二桁成長を確保していく考えを示した。
同社の10年業績は、09年比23%増の1334億円。統合失調症治療薬「ジプレキサ」が7%増の467億円、骨粗鬆症治療薬「エビスタ」が4%増の217億円、抗癌剤「ジェムザール」が10%増の196億円と堅調に推移。新製品の抗癌剤「アリムタ」が約2・5倍増の326億円、ADHD治療薬「ストラテラ」が約4倍増と売上を伸ばし、国内第1位の成長率(米IMS調査)を達成した。
さらに今年、グローバル組織と整合性をとるため、国内でも事業本部制を導入。「糖尿病・成長ホルモン事業本部」「オンコロジー事業本部」「バイオ・医薬事業本部」の3事業本部制を敷き、グローバル連携を進めながら、効率的な新薬開発につなげる。
さらに、日本・中国・台湾・豪州・韓国を対象に、各国の開発組織を統合したバーチャル組織を立ち上げ、アジア・パシフィック地域の同時開発を主導していく方針だ。
国内の研究開発では、アルツハイマー病を対象とした抗アミロイドβ抗体「ソラネズマブ」など8本の第Ⅲ相試験、3本の第Ⅱ相試験が進行中で、そのうち7割をグローバル・アジア共同治験が占める。今後、世界同時開発を加速させることで、継続した二桁成長を確保したい考え。