
新宅社長
テルモは、2011~13年度の中期経営計画「GP1‐2013」を発表した。中計では、20年度の目標売上高1兆円に向け、事業の多角化とグローバル化を加速させる。さらに日本からアジア地域に生産移管し、コスト低減と生産集中リスクの分散化に取り組む。最終年度となる13年度には、売上高4900億円、営業利益1000億円の達成を目指す。
同社は、20年までの今後10年間を見通した上で、「GP1‐2013」を次期、次々期につなげる中計と位置づける。18日に都内で開いた記者会見で、新宅祐太郎社長は「13年度以降の成長に向けた仕込みを重視したい」と述べ、新興国の事業基盤を構築すると共に、日本からアジア地域への生産移管を前倒しして進める方針を打ち出した。
新中計では、主力の心臓血管領域に依存する事業構造からの脱却を図り、事業の多角化を進め、年率14%増の成長を目指していく。特に血液システム事業では、3月に買収した米輸血関連大手「カリディアンBCT」の事業を統合することで、13年度には年率52%増の870億円までに引き上げる。
また、薬と医療機器を組み合わせた「ドラッグ&デバイス事業」では、既に海外大手製薬企業との提携交渉を進めており、ビジネスモデルの構築にメドをつける。糖尿病・低侵襲治療領域では開発パイプラインの拡充、補助人工心臓事業では「DuraHeart」の後継品について、13年度の米国治験入りを目指す。
さらに今後、欧米地域から新興国へとグローバル化を加速させる。13年度には、海外売上高比率を、10年度の46%から53%までに高める計画。最重点地域に位置づける中国では、現地企業との提携を模索し、主力のカテーテル領域だけでなく、他領域にも参入することで、年率33%増の高成長を実現する。インドやブラジルでも、血液・カテーテル領域を成長ドライバーに事業を展開していく。
一方、生産体制については、原材料の現地調達化を進めることで、コスト低減と、生産集中リスクの分散化に取り組む。具体的には、ベトナムやフィリピンの工場を有効活用し、日本からアジア地域への生産移管を進める。15年度の海外生産比率目標50%の達成に向け、中計期間中に生産拠点の再編を行う方針。