中国での医薬品関連事業のコンサルティングを手がけるモリモト医薬(本社吹田市、社長盛本修司氏)は今春、中国の北京にCROを設立する。日系製薬会社から受託した臨床試験を、提携する現地CROを通じて実施。新会社は、その臨床試験がGCPを遵守して行われるよう管理し、機密保持も確保する。現地CROの短所を補い長所を引き出すような、従来にない新しい業務分担体制を構築。迅速で安価、信頼性の高い臨床試験を行えるという。中国を含めた国際共同治験の実施や中国市場への本格進出を計画する日系製薬会社を対象に、受託を働きかけていく考えだ。
新会社の名称は「北京盛本医薬科技有限公司」(仮称)。北京に本社、上海に事務所を設置する予定。資本金は約1800万円。盛本氏が過半を出資し董事長に就く。また総経理には日本臓器製薬北京駐在所長を務めた重村新吾氏が就任する予定だ。
中国当局に近く申請し、4月中までには認可される見通し。スタッフ数は10人前後。中国側に6人、日本側に4人を配置する。日本語に堪能な人材を登用し、日系製薬会社への対応も全て日本語で行えるという。既にほとんどのスタッフを採用し、研修も終えている。
モリモト医薬は昨年、一定規模以上の現地CROの実態を徹底調査し、(1)国際共同治験に対応できるインフラと実績がある(2)国内申請治験で豊富な経験と実績がある(3)データマネジメントと統計解析で確かな信頼と実績がある‐‐のそれぞれの特徴を持つ現地CROを5社選定した。新会社はこの5社と提携関係を構築する。
製薬会社から臨床試験を受託すれば、その内容に適した経験と人脈を持つCROを、提携する5社の中から1社指名。その上で新会社が、▽完全日本語によるインターフェース▽ICHーGCP遵守の保証▽機密保持の保証――を担当し、2社共同で中国での臨床試験を推進する。人脈が重要な意味を持つ中国では、現地CROは、医療機関や審査当局と良好な関係を構築できる。一方、データの信頼性や機密保持の面では課題があるが、その部分を新会社が担当することにより、現地CROの長所を十分に生かせるという。
モリモト医薬は、武田薬品などで製剤研究、その後、中国天津武田の工場長を担当していた盛本氏が05年に設立した。天津を中心に北京、蘇州、上海などに拠点を設置。約40人のスタッフを擁し、製剤分野や中国進出のコンサルティングを手がけている。