
藤澤社長
創薬ベンチャーのメビオファームは15日、東京証券取引所傘下のプロ向け市場「TOKYO AIM取引所」に上場した。2008年に設立されたAIM市場の上場第1号企業となる。都内で記者会見した藤澤忠司社長は、「AIM市場は柔軟で魅力的な市場であり、上場を一つの契機として、さらに積極的な提携などを進め、創薬事業に邁進したい」と決意を新たにした。
メビオファームは、02年に設立された東京大学発の創薬ベンチャー。独自のリポソーム技術をもとに、既存の抗癌剤を内包したDDS製剤の研究開発を進めている。最も先行しているのが、オキサリプラチン内封DDS製剤「MBP-426」。現在、胃癌治療薬として米国第Ⅱ相試験中、大腸癌治療薬としても第Ⅱ相試験準備中にある。
上場を受け、同社が発表した13年3月期までの事業計画では、7月に基本合意した中国企業への技術導出に関する収益等と共に、「MBP-426」の導出契約も予定。今期に黒字化を図る計画を打ち出した。来期には、「MBP-426」の導出先による第Ⅲ相試験の実施、それに伴うマイルストーン収入を見込み、売上高27億3800万円、営業利益17億0100万円、純利益17億円を計画する。
藤澤氏は「今期から黒字化を見込んでおり、いよいよ事業が形になって発展させていける段階に入った」と強調し、提携交渉を加速させる考えを示した。その上で、「さらに技術を徹底的に磨き上げ、きちんと事業を進めることで市場の支持を得たい」と語った。
「TOKYO AIM取引所」は、08年に東証とロンドン証券取引所が合弁で開設したプロ向け市場。四半期開示や内部統制報告書が不要で、国際会計基準を採用可能などのメリットがあり、柔軟な上場規制が特徴となっている。