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【海外大手製薬企業11年上半期決算】欧米の医療費抑制策が影響‐特許切れと新型インフル反動目立つ

2011年8月16日 (火)

 海外大手製薬企業の2011年上半期決算が出揃った。米国勢・欧州勢の各社は、主力品の特許切れや米国、欧州の医療費抑制政策が大きなマイナス影響として働いたことに加え、新型インフルエンザ流行に伴うワクチンなど需要増の反動で、特にワクチンを手がける欧州勢で減収が目立った。全体的には、好調な新興国市場の成長でもマイナス影響をカバーできない企業と、主力品の伸びで堅調に推移した企業が大きく分かれた格好となった。


【米ファイザー】

 米ファイザーは、主力品の特許切れやカプスゲル事業の売却が響き、売上高は前年同期比1%減の334億8600万ドルと微減収となった。 医療用医薬品のバイオ医薬品部門は、旧ワイスの生物製剤、ワクチンが中心のスペシャリティ・ケア事業部門が5%増の76億ドル、新興国中心のイマージング・マーケット事業部門が9%増の46億ドルと売上を伸ばしたが、ファイザー製品中心のプライマリー・ケア事業部門が4%減の113億ドル、特許切れ製品を扱うエスタブリッシュ製品事業部門が15%減の47億ドルと落ち込み、売上高は2%減の289億ドルと増収を確保できなかった。

 製品別では、主力の高脂血症治療薬「リピトール」が特許切れの影響を受け、11%減の50億ドルと大幅に減少。神経障害性疼痛治療薬「リリカ」が17%増の17億ドル、旧ワイス製品の抗リウマチ薬「エンブレル」が11%増の18億ドル、小児用13価肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」が約2倍増の18億ドルと、スペシャリティ・ケア製品が好調に推移したが、全体では特許切れ製品の落ち込みをカバーできなかった。

 純利益は、コスト削減で費用が膨らんだものの、ワイス買収に伴う統合関連費用が減少し、7%増の48億ドルと増益を確保した。


【スイス・ノバルティスファーマ】

 スイス・ノバルティスは、主力品が好調な医薬品事業、後発品事業のサンド、アイケア事業のアルコンが大きく伸長し、売上高は前年同期比21%増の289億4200万ドルと二桁成長を維持した。

 医薬品事業は、主力の高血圧治療薬「ディオバン」が後発品の登場で3%減の29億ドルと売上を減らしたが、加齢黄斑変性症治療薬「ルセンティス」が33%増の10億ドルと大幅に伸長。癌領域製品も、慢性骨髄性白血病治療薬「グリベック」が8%増の23億ドル、後継品の「タシグナ」が3億ドル、新製品の腎細胞癌治療薬「アフィニトール」が2億ドルと2倍増の伸びを見せた結果、売上高は8%増の160億ドルとなった。

 後発品事業のサンドは、米国や新興国の高成長に加え、バイオ後続品の大幅伸長によって価格低下の影響をカバーし、22%増の48億ドルとなった。また、アイケア事業のアルコンは、サージカル製品、眼科用医薬品の成長が牽引し、11%増の50億ドルと二桁成長を確保。ワクチン・診断技術関連事業は、前年同期に新型インフルエンザワクチンの売上高13億ドルを計上した影響により、65%減と大幅に減らした。

 営業利益は、為替のマイナス影響などを受け、4%増の67億3000万ドルとなった。


【米メルク】

 米メルクは、主力品が順調に推移し、売上高は前年同期比4%増の237億3200万ドルとなった。

 医療用医薬品は、主力のアレルギー治療薬「シングレア」が11%増の27億ドル、DPP‐4阻害薬「ジャヌビア」が37%増の15億ドル、高脂血症治療薬「ゼチーア」が7%増の12億ドル、HIVインテグラーゼ阻害剤「アイセントレス」が26%増の6億ドルと伸長。特許切れした大型製品の高血圧治療薬・配合剤「コザール/ハイザール」が34%減の8億ドルと大きく落ち込んだが、好調な主力製品群の伸びによって増収を確保した。

 純利益は、シェリング・プラウとの統合関連費用などの負担が減少したことから、約3倍増の31億ドルと大幅な増益となった。


【仏サノフィ】

 仏サノフィは、為替の影響に加え、新型インフルエンザ流行に伴う需要増の反動により、ワクチン事業が大幅に減少したことが響き、減収減益となった。

 売上高は前年同期比0・5%減の161億2800万ユーロ。医薬品事業は、特許切れの影響が大きい抗血小板薬「プラビックス」が7・4%減の10億ユーロと売上を減らしたが、糖尿病領域のインスリンアナログ製剤「ランタス」が10・4%増の19億ユーロ、「アピドラ」が22・9%増の1億ユーロと好調に推移した。

 ジェネリック医薬品事業は、米国でのオートジェネリック、中南米のメドレー製品が新興国市場を牽引し、17・1%増の8億ユーロと二桁の伸びを示したが、ワクチン事業は、前年同期に新型インフルエンザワクチンの需要が急増した反動で、22・7%減の13億ユーロと落ち込んだ。

 その結果、営業利益は、ワクチン事業の売上総利益減や販管費増が影響し、12・7%減の60億ユーロ、純利益は11・9%減の43億ユーロとなった。


【スイス・ロシュ】

 スイスのロシュは、米国の医療保険制度改革、FDAによる血管新生阻害剤「アバスチン」の乳癌での承認取り消し勧告などが響き、売上高は12%減の216億7100万スイスフラン(CHF)となったが、フラン高の影響で、米ドルの現地通貨ベースでは横ばいにとどまった。

 医療用医薬品は、悪性リンパ腫治療薬「リツキサン」が6%増(現地通貨ベース)の31億CHF、転移性乳癌治療薬「ハーセプチン」が10%増の27億CHFと、主力の癌領域製品が好調に推移した。

 しかし、「アバスチン」は米国で乳癌適応の承認取り消し勧告が響き、8%減の27億CHF、「タミフル」は新型インフルエンザに伴う備蓄増の反動で58%減の3億CHFと大幅に落ち込み、1%減(スイスフランでは13%減)の168億CHFと減収となった。


【英GSK】

 英グラクソ・スミスクラインは、安全性の問題が懸念されている糖尿病治療薬「アバンディア」、後発品との競合が激しい抗ヘルペスウイルス薬「バルトレックス」の減少や欧州、米国の医療費抑制政策が響き、6%減の133億0500万ポンドとなった。

 医療用医薬品・ワクチン部門は、9%減の107億ポンド。主力の気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「セレタイド/アドエア」が2%減(CERベース)の25億ポンド、心リスクの警告が影響する「アバンディア」が80%減の6200万ポンド、後発品の浸透が激しい「バルトレックス」が49%減の2億ポンドと売上を大きく減らし、ワクチンも新型インフルエンザのパンデミックワクチン需要増の反動で、34%減の15億ポンドと大幅に落ち込んだ。


【英アストラゼネカ】

 英アストラゼネカは、主力品を中心に新興国で二桁成長を示したものの、米国と西欧の落ち込みが響き、減収減益となった。

 売上高は、3%減の167億2200万ドル。主力製品を見ると、高脂血症治療薬「クレストール」は北米、西欧、日本、カナダ、オーストラリアと全世界で高い成長を示し、13%増の32億ドルと大幅に売上を伸ばした。統合失調症治療薬「セロクエル」は、徐放製剤の処方増によって7%増の29億ドルと増収を確保した。

 ただ、抗潰瘍薬「ネキシウム」は、米国の医療保険制度改革、欧州の一部国で後発品が発売された影響により、10%減の23億ドルと二桁減益。抗癌剤「アリミデックス」も米国で後発品発売の影響が大きく、58%減の4億ドルと売上が半減し、全体売上高は減収に落ち込んだ。

 営業利益は、研究開発費や販管費が膨らみ、5%減の64億ドルとなった。


【米J&J】

 米ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門は、主力の抗リウマチ薬「レミケード」が14・7%増の27億ドルと二桁成長で続伸。多発性骨髄腫治療薬「ベルケード」が14・6%増、抗HIV薬「プリジスタ」が48・1%増、新発売した乾癬治療薬「ステララ」、関節リウマチ治療薬「シンポニ」の生物製剤も好調に推移。米国で後発品の影響が大きい抗精神病薬「リスパダール」も全世界で4・3%増と健闘した結果、売上高は9・8%増の122億9200万ドルと増収を確保した。


【米イーラリリー】

 米イーライリリーは、主力品の伸長と為替のプラス影響が寄与し、売上高は8%増の120億9200万ドルとなった。抗癌剤「ジェムザール」が米国特許切れの影響で54%減と大幅に売上を減らしたが、主力の抗精神病薬「ジプレキサ」が9%増と堅調に推移したほか、大うつ病治療薬「サインバルタ」が14%増、抗癌剤「アリムタ」が11%増、超速効型インスリン製剤「ヒューマログ」が10%増と二桁成長を示し、増収を確保した。


【米BMS】

 米ブリストル・マイヤーズ・スクイブは、主力品が伸長し、9%増の104億4500万ドルとなった。

 主力の抗血小板薬「プラビックス」が10%増の36億ドル、大塚製薬と共同販売する抗精神病薬「エビリファイ」が6%増の13億ドルと好調に推移。さらに、抗HIV薬「レイアタッツ」が4%増、新製品の抗リウマチ薬「オレンシア」が23%増、抗癌剤「スプリセル」が39%増と大幅に売上を伸ばし、DPP‐4阻害薬「オングリザ」も約5倍増と急成長を遂げた。




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