中央社会保険医療協議会は24日、薬価専門部会を開き、製薬・医薬品卸業界から、次期薬価制度改革に向けた意見聴取を行った。業界側は、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の恒久化と加算率100%への引上げ、必須医薬品の薬価維持、原価計算品目に対する市場拡大再算定の基準緩和などを求めた。しかし、中医協の理解は深まらず、特に再算定の緩和には、「少し遠慮してもらいたい」(邉見公雄全国自治体病院協議会会長)、「医療に貢献するから高くて当然というのは我慢ならない」(白川修二健康保険組合連合会専務理事)と、反発が強かった。
新薬創出等加算をめぐっては、日本製薬団体連合会が制度試行後に未承認薬・適応外薬の開発が着実に進展している状況を説明し、さらなる取り組み加速のために本格導入を主張した。日本製薬工業協会も、未承認薬等開発支援センターによる恒常的な開発促進に取り組む意向を示し、加算の継続を要請した。
また、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、日本での新薬開発プロジェクト数、治験届数、治験の世界同時立ち上げへの日本の参加割合が、いずれも大幅に改善した実績を提示。米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、企業の開発判断に良影響をもたらすとのアンケート結果を紹介し、加算制度の安定的運用を求めた。
さらに、日本医薬品卸業連合会は、単品単価契約と密接に関係する加算制度について、「流通改革のトリガーになることに期待する」と恒久化を支持した。
ただ、中医協側は、邉見氏が「努力は理解するが、アウトカムが出てくるまで、暫くトライアルを続けるわけにはいかないか」と恒久化に慎重姿勢を示した。
市場拡大再算定については、薬価算定組織が基準額の引き下げを提案しているが、EFPIAは「むしろ基準額を引き上げるべき」としたほか、再算定品目にも新薬創出等加算を適用すべきとの考えを示した。PhRMAも「イノベーションの故に多く使われている。(基準額引き下げは)イノベーションの評価と概念が相反する」と基準の厳格化に反対した。
これに対し、邉見氏は「医療費を全部薬剤費にもっていかれるわけにはいかない」と指摘。白川氏は「適正価格で売ってもらいたい」と、当初見込んだ市場規模を大きく上回った場合に補正する必要性を強調した。安達秀樹京都府医師会副会長も「(収載時と)大きく変わるとなると、最初の推計が過小としか言えない」と述べた。