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【医薬品市場】アジアが「第4の極」‐高い成長率にらみ各社が進出

2007年03月07日 (水)

 製薬会社のアジア市場に対する事業戦略が相次いで公表され、競争が激しくなりそうだ。特に、業界では模様眺めにあったインド市場は、大手では先行して進出しているエーザイが、事業拠点として確立する取り組みを強めている。その中で2月に入って、第一三共は、2007年中にも現地法人を設立すると表明。協和発酵は、自社で情報収集し、ビジネスチャンスを探る駐在員事務所を開設した。

 アジア市場で注目が集まるのは中国とインド。共に人口は10億人超、中間所得層の拡大が見込まれ、医薬品市場としても10%前後の成長が期待されているためだ。しかし、中国で公的健康保険の適用を受けるのは北京や上海などの数億人と限定的で、インドは公的な医療保険が整備されていないという。ジェネリックが中心になるのではとの見方や、インドでは特許制度が未確立だったことから、模様眺めにあった。ようやく法改正により物質特許が認められたところだ。

 その中でエーザイは、日米欧にアジアを加えて事業を展開する戦略を立てている。アジア市場での売上高として年平均20%の成長を予測し、2011年度(中期計画終了年度)には600億円を見込む。アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」やプロトンポンプ阻害剤「パリエット」などで販拡を狙う。11年度までには、アジアでのMR数をほぼ倍増の1900人体制とする方針だ。うち1000人は中国に配置する。

 先行投資してきたインドは、低コストやIT水準の高さに着目し、事業拠点化の取り組みを強めている。来年度中にも、約50億円を投資し、原薬研究・生産拠点を整備。さらに、臨床試験のデータマネジメント・統計解析機能も移すことを計画。時期は未定だが、中東進出も視野に置いている。

 第一三共も2月に発表した中計で、アジア・中南米地域を「第4の極」と位置づけると表明。07年中にインドに現地法人を新設し、インド市場への本格参入を目指す方針を示した。設立時期など詳細は明かしていないが、同社の国際戦略品であるAII受容体拮抗型降圧薬オルメサルタンや糖尿病治療薬など主力品を投入する方針だ。現地企業との合弁会社「ユニ三共」(三共出資比率39・99%)の持つ流通経路、事務業務の支援を受け、両社で連携して市場開拓を進める。

 同社はアジア・中南米地域では既に中国、台湾、韓国、ブラジル・ベルズエラに拠点を構える。中計では09年度までに、同地域でMR700人体制、売上高を250億円を目標に置く。

 インドでは、協和発酵も拠点を構えたと発表した。2月28日、インド・ムンバイに医薬品などの事業環境に関する情報収集を行う駐在員事務所を開設。担当者を1人置き、より現地に密着した活動を行い、ビジネスへの布石を打った。同社は「発展著しいインド関連の事業を拡大させていきたいと考えている」としている。

 アステラス製薬は、4月1日付で「アジア事業本部」を新設すると発表し、アジア市場の事業拡大に本腰を入れることになった。

 現在、韓国、台湾、中国、フィリピン、インドネシア、タイで、約500人のMRが営業活動しているという。国際展開の強化を掲げた中計では、アジア地域で、主力の排尿障害改善薬「ハルナール」、免疫抑制剤「プログラフ」などに加え、過活動膀胱治療薬「ベシケア」、抗真菌剤「マイカミン」といった新薬の投入でプレゼンスを高めることをうたっている。

 今度、アジア事業の専門部署を設けることで、事業戦略の企画立案、マーケティング、営業を強化し、進出する6地域全てでシェア拡大を狙う。10年度には、売上高を06年度見込みより100億円増の350億円にする方針だ。



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