CRMの国際展開加速‐アジア・パシフィックを強化
フランスを本拠とするセジデムグループの「セジデム・リレーションシップ・マネジメント」(以下、セジデム)は、ライフサイエンス業界に特化したCRM、コンプライアンス、マーケティング、データ最適化のためのソリューションを提供している。2007年には、CRM大手のデンドライトを買収し、グローバル企業として規模を拡大させた。世界を四つの地域に分けて事業展開を進めており、アジア・パシフィック(APAC)を重点地域に位置づけている。シンガポールをアジア・パシフィック地域本社として、中国・オーストラリア・インド・韓国・日本に拠点を設置。インドネシア・フィリピン・香港・タイ・ベトナムの顧客もサポートしている。
セジデムは昨年9月、グループのブランド戦略の一環として、ビジネスユニット名を「セジデム・リレーションシップ・マネジメント」に変更し、新たなスタートを切り、主力とするCRMソリューション「Mobile Intelligence(MI)」の国際展開を加速させる方針を打ち出した。MIは、ライフサイエンス企業向けにデザインされたCRMソリューションで、営業活動をサポートする上で、最適なテンプレートや機能を備えている。
MIのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)は、ユーザの使いやすさを第一に考えた“人間中心設計”を基調としており、ステークホルダーとの関係管理や、MRの日常業務から分析まで、単一のシステム上で完結できる。
また、柔軟なコンフィギュレーションツールが備えられており、国別、地域別など、グローバルな顧客固有ニーズに応じた対応も可能だ。さらに、ノートPCのみならず、営業ツールとして普及が進みつつあるiPhoneなどのスマートフォンや、iPadなどのタブレットPCにも対応している。
加えて、社内でのシステム運用が複雑にならないようにするため、フィジカルサーバが不要なクラウド型サービス、SaaSモデルにも対応できる。フランス・シンガポール・アメリカの3カ国にデータセンターを設置し、全世界にクラウドサービスを提供しており、現在、世界全体で150のプロジェクトが進行中だ。
ローラン・ラブリューヌCEOは、「シンプルなシステム、SaaSモデル、コンプライアンス・ソリューション、データベースサービスの、四つのトレンドに焦点を当てたソリューションがセジデムの強み」と話している。
一方、セジデムでは、こうしたMIの特性に加え、医療従事者750万人の情報を集積した、包括的なデータベース「One Key」を世界69カ国で提供している。ラブリューヌ氏は、「国・地域レベルでデータを提供できるプロバイダーはあるが、グローバルに医療施設や医療従事者の情報を蓄積、検証し、提供できるのは弊社だけ」と自信を示す。
現在、APACのCRMユーザは4万3000人、One Keyユーザは6000人を超える。特に成長拡大が期待される中国では、One Keyの運用開始後わずか3年で、297都市7400以上の医療施設データ、この1年で36都市約23万件の医療従事者データを追加した。
セジデム・アジア・パシフィックプレジデントのロルフ・ぺッカー氏は、「新たな市場に参入する場合、市場調査を含め、事業基盤を構築するまでに3~6カ月かかるのが通常だが、MIとOne Keyを活用することで、迅速に事業を拡大できる」と強調する。
一方、国内でMIの運用・サポートを行っているセジデム日本法人についても、国内外での実績を背景に、着実に成果を上げているようだ。既に製薬企業9社からMIシステムを受注し、MIの認知度も高まっている。セジデム日本法人の川崎信也社長は、「MIはグローバルで単一なシステムでありながら、日本国内の製薬業界に特化した機能も基本機能として備えている。これまで製薬業界で培ってきたわれわれの経験を評価していただいた」と手応えを語る。
今年7月に締結した日立製作所とのパートナーシップを通じて、MIの拡販に取り組む方針だ。川崎氏は、「総合ITを強みとする日立製作所とのコラボレーションによって、ソリューションの幅をさらに広げていきたい」と意欲を示す。
セジデムは、今後、APAC地域の事業をさらに拡大し、ライフサイエンス企業が直面する環境の変化に対応したソリューションを提供していく方針だ。