国内市場に向け本格参入‐iPad対応の支援システム投入
米国を本拠として、製薬業界向けCRMサービスをグローバルで展開する「Veeva Systems」(ヴィーバシステムズ)は、7月末に日本法人「ヴィーバジャパン」を設立し、国内市場に参入を果たした。クラウドを基盤に、CRMとCLMをiPad上に統合させたアプリケーション「iRep」を11月にも日本市場向けに投入する予定だ。営業デバイスとして普及が進むiPadに対応したソリューションを提供することで、MRによる付加価値の高い情報提供活動を支援する。ヴィーバジャパンの岡村崇社長は、「今後2~3年間で、グローバルで利用中の外資系製薬企業へのサポート体制を構築し、その後は日系製薬企業に向けたサービスを強化していきたい」と抱負を述べた。
ヴィーバは2007年に、米国カルフォルニア州に設立。製薬業界向けに、米ソフトウェア大手「セールスフォース・ドットコム」のクラウド環境を基盤とした、CRMソリューションサービス「Veeva CRM」を提供し、創業4年目で100社以上、MR2万5000ユーザーを獲得。グローバル売上高トップ20の製薬企業のうち、既に11社が同社のCRMを利用している。こうしたグローバルでの実績を背景に、今年5月にヴィーバジャパンを法人化し、世界第2位の日本市場に参入を図ることになった。
今後、ヴィーバジャパンが国内で本格展開していくのが、「iRep」。プライマリケアをはじめ、スペシャリティケア、キーアカウント管理、KOL管理などのCRMの基本機能に、CLM(クローズド・ループ・マーケティング)の機能を統合したiPad用のソリューションだ。
MRがPCを持ち歩かずに済むという利点や、起動が早くどこでもインターネットに接続できる利便性の高さもあって、製薬業界の営業現場で、iPadを活用した情報提供が急速に普及している。実際、グローバルでveeva CRMを利用しているユーザーのうち、約4分の1の顧客についても、年内にiPadを導入する見込み。ヴィーバは、営業デバイスとして主流になりつつあるiPadにいち早く対応して設計されたiRepにより、特定の医師にターゲット化した情報提供をサポートしていく。クラウド型サービスで、ソフトウェアやハードウェアをユーザー側で用意する必要がなく、コストを抑えられるほか、簡単に導入することができる。
具体的には、iRepを利用することで、MRは必要なとき、必要な場所で、最新の医師・施設情報にアクセスでき、医師が求める医療情報にも迅速に対応できる。また、国内でサービスを開始したことで、グローバル統一されたソリューションに加え、国内の規制に対応した機能も充実させた。今後、市販後調査や添付文書データ、JDNETなど実消化系データの取り込みも追加する予定。岡村氏は、「日本のMRが必要とする機能については、全て盛り込めるソリューションとなっている」と自信を示す。
また、MRの情報提供に対して医師がどのような反応を示したかについても、タッチパネル上でボタンクリックするだけで、即座に医師情報として反映。例えば、新製品の勉強会の案内や、動画コンテンツを活用したプレゼンテーションを行った場合に、MRが医師の積極度や関心度を判断し、その場で入力し、瞬時に記録に反映できる。
日本では、11月から国内向けサービスを開始することにしている。既に、グローバルで利用中のイーライリリーグループからは受注済みで、来年春には本格稼働する。今後2~3年間は、グローバルでiRepを利用している外資系製薬企業の国内サポートを強化。その後、日系製薬企業のMRに対するサービスにも注力する。武田薬品やエーザイ、第一三共、アステラス製薬などの海外子会社でも、veeva CRMを採用しており、岡村氏は「グローバルで同一のCRMソリューションを使いたいというトレンドも追い風に、iRepを国内で訴求していきたい」と話している。
ヴィーバジャパン
http://www.veevasystems.jp/