MRコンピテンシーを策定‐未経験者を早期に戦力化
ファーマネットワークは、20代前半の未経験者から50代のベテランまで、多様なMR人材を有し、それぞれの経験・能力に応じた育成に力を入れている。4月にはMRの行動・評価基準を定めた「MRコンピテンシー」を策定し、MRが今後身につけておくべきスキル・知識・態度などの到達目標を経験年数に応じて設定。それを達成する上で必要な研修プログラムを開発した。定期的に実施される継続研修(プログレッシング研修)やe‐ラーニングに加え、プロジェクトマネージャーが担当する「プロジェクト会議」で、営業現場に即した情報や成功体験をメンバー間で共有し、医師の治療をサポートできるMRへと育成を図る。片岡惠連社長は、「各MRに対応した教育のプラットフォームを提供していく。PDCAサイクルを回し、各MRが能動的に学べる環境を作り、ファーマネットワークとしてサービス品質を強化していきたい」と意欲を示している。

片岡氏
同社は近年、多くの未経験MRを採用している。片岡氏は、未経験MRの人材育成について、「導入教育終了段階、MR認定試験の受験段階、配属先のプロジェクト終了段階、その時点で身につけておくべき知識・営業スキルなどを明示し、能動的に学べるMRへと育成する」と説明する。導入教育段階では、「最初に座学を通じて頭に知識を吸収させる。その上で、医療機関や医薬品卸の実際の現場を見学することで、頭で吸収した知識を目と耳で理解させる。その後、ロールプレイやプレゼンテーションで営業スキルを確かめ、MRの着実なスキル向上につなげていく」という仕組みを構築している。
MR研修テキストの修了段階では、導入教育と並行して、派遣先である製薬企業の主力製品を意識した製品研修も行っている。一例として、担当する企業の主力製品の添付文書に記載されている効能・効果、用法・用量、規格を暗記、理解させる。これも、未経験MRが配属先のプロジェクトで、すぐに活躍できるための一つの取り組みだ。
ただ、研修では、MR活動に必要な知識の引き出しを作れても、それだけでは実際の営業現場で対応できないこともある。ファーマネットワークでは、プロジェクトマネージャーの主催で「プロジェクト会議」を行い、営業現場への配属後にメンバー間でナレッジを共有し、営業現場に即した課題解決を目指す。研修とプロジェクト会議を組み合わせることで、MRの総合的能力を引き上げたい考えだ。
片岡氏は、「研修とプロジェクト会議の両面のアプローチで、知識習得に前向きなMRの成長を促すと同時に、一つの目標に向けて、社員全体のベクトルも合わせていく」と強調。MR個人が志向する目標に対して、それをサポートする教育プラットフォームやキャリアパスを提供しながら、ファーマネットワークとしてサービス品質を強化し、プロジェクト管理につなげる方針だ。
ファーマネットワークが展開する教育研修は、製薬企業からも好評価を得ている。社内MRの育成に取り組む傍ら、製薬企業に対し、ファーマネットワークの講師を派遣。委託先である製薬企業の製品研修も手がける。片岡氏は、「教育研修事業は、CSOの付加価値を高めるサービス」と位置づける。
実際、製薬企業がCSOを戦略的に活用する時代を迎え、MR教育でも連携が加速している。こうした事例はファーマネットワークでも例外ではない。ファーマネットワークが製薬企業の研修を代替する一方、製薬企業の関係者が同社の研修を見学し、当該製薬企業が求めるMR人材像や営業戦略について、講義を行ってもらう場合もある。クライアントとの協業体制により教育研修体制に磨きをかけ、関係強化に相乗効果を生み出している。
ファーマネットワーク
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