厚生労働省は、日本薬学会が3月にまとめた一般用への転用可能な医療用医薬品の成分案に対する日本医学会・分科会の見解の第2弾を公表した。日本老年医学会、日本大腸肛門病学会、日本動脈硬化学会が候補10成分のうち8成分に異議を唱えている。
老年医学会は、「合併症と併用薬に配慮し、効果と安全性に留意しながら、常に少量・少数の薬剤で治療に当たることが高齢者薬物療法の原則」と高齢者のセルフメディケーションに慎重な立場を表明した。「少しでも有害事象の危険性のある薬剤は医師の管理のもとで処方されるべき」とも指摘した。
その上で、添付文書の使用上の注意で高齢者への慎重投与が求められている▽コレスチミド▽アカルボース▽オメプラゾール▽メペンゾラート臭化物▽ポリカルボフィルカルシウム▽プロピベリン塩酸塩▽ピランテルパモ酸塩▽メナテトレノン」――の8成分(いずれも内服)の転用に反対した。
大腸肛門病学会は、過敏性結腸症の治療薬であるメペンゾラート臭化物とポリカルボフィルカルシウムについて、過敏性結腸症の診断が一般の消化器医師にとっても難しく、病型ごとに薬剤の選択や用量を吟味する必要があるとして、「スイッチ化は現状では不適切」との認識を示した。
動脈硬化学会は、コレステロール低下薬のコレスチミドについて、禁忌項目が多く、多剤併用による相互作用を起こしやすいことなどを理由に、「一般用医薬品に転用することは効用、安全性の面から派生する問題が多い」とした。さらに、転用の前提条件として、薬局などで血清脂質を定期的に測定できる自己管理システムや、管理栄養士による栄養指導を誰でも気軽に受けられる環境を、法整備を含めて構築する必要性を強調した。