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RSを確立した学問体系に

2011年10月14日 (金)

 厚生労働省の2012年度医薬関係予算概算要求がまとまった。このうち、最も要求額が多かったのは、重点政策実現のための「日本再生重点化措置」枠で要望した、レギュラトリーサイエンス(RS)推進関連予算(約113億円)だ。

 RSをめぐっては、6月に日本公定書協会が法人名を「医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団」に変更。日本学術会議が8月に発表した「国民の健康増進を支える薬学研究」では、RSを基盤とした医薬品・医療機器の探索、開発、市販後研究の高度化を目指すことが提案されている。同月に閣議決定された第4期科学技術基本計画には、RSの充実・強化が盛り込まれ、翌月にはRS学会の第1回学術大会も開かれるなど、RSはもはや流行語となりつつある。

 厚労省のRS推進に向けた事業の中身を見ると、大学に寄付講座を設置してRSに精通した人材の育成を行うほか、医薬品医療機器総合機構を薬事承認審査に必要なガイドライン策定などの研究拠点として位置づけることや、国立医薬品食品衛生研究所を有効性・安全性の評価試験法開発の拠点にすることなどを掲げている。

 事業は、人材育成や基盤整備を主な目的としているため、即座に効果が出るということは考えにくい。ただ、113億円のRS関連予算は、前年度の医薬関係予算73億5000万円を軽く超える額で、それだけの予算要求をしたのであれば、実効性が問われるのは免れまい。

 第4期科学技術基本計画ではRSを、「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」と定義している。

 これまでの「産業のための科学」から、「人と社会のための科学」に考え方をシフトさせようとしている意図は読み取れるが、RSは医薬品はもとより、食品安全や原発の分野などでも用いられるほど、幅広い概念だ。

 実際、今後の医薬品開発にどのように生かしていけばいいのか、という疑問を抱いている人も少なくないのではなかろうか。RSは医薬品が認可される過程でのみ適用されるのではなく、市販された後の段階でも活用されるものという考え方もあるようだ。

 RSを“はやり”で終わらせないためには、RSを新たな学問として確立することが急務となる。そのためには、医薬品の開発や承認審査、市販後の安全対策に、どうRSを適用させていくのかを明確化すると共に、具体的な実践が必要で、それが社会にどれだけ貢献したのかを示すことが求められる。




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