厚生労働省医政局経済課は8日、2010年の薬事工業生産動態統計年報を公表した。昨年1年間に国内で生産した医薬品最終製品の金額は、6兆7791億円で、薬価引き下げの影響もあり、前年から405億円(0・6%)の減少となった。医薬品の輸入額は前年比8・9%増の2兆3166億円に伸びた一方、輸出額は11・2%減の1445億円となり、輸入超過が拡大した。
医薬品の生産金額は、薬価基準改定が実施された年に減少する傾向があり、10年は薬剤費ベースで5・75%の薬価マイナス改定が行われたため、前年に比べやや落ち込んだ。生産額が減少したのは、04年以来6年ぶりのこと。
国内生産を用途別に見ると、医療用が0・4%減の6兆1489億円で、全体の90・7%を占める。08年、09年に増加していた一般用が減少に転じ、2・3%減の6022億円。配置用家庭薬は2・6%減の280億円で、引き続き減少した。
薬効分類別に見ると、最も金額が大きかったのは、循環器官用薬の1兆4017億円で、前年より1・2%減少した。循環器官用薬だけで医薬品総生産金額の約20%を占めている。この中で、最も大きな割合を占めたのが血圧降下剤の45・9%で、高脂血症用剤19・7%、血管拡張剤19・3%と続いた。
薬効分類別の医薬品総生産金額に占める割合は、中枢神経系用薬が11・3%、その他の代謝性医薬品9・4%、消化器官用薬8・6%、血液・体液用薬6・6%、外皮用薬5・1%だった。
一方、医療機器の国内生産額は1兆7134億円で、前年より8・7%増えた。輸出額は4534億円で4・6%減少し、輸入額も1兆0554億円で1・8%の減だったが、輸入超過は拡大した。
医療機器の分類別で最も生産金額が大きかったのは、処置用機器の4277億円で全体の25%を占めた。
医薬部外品の生産金額は8092億円で、前年より136億円(1・6%)の減少となった。薬効分類別で生産金額が最も大きかったのは、薬用化粧品の2832億円(構成割合は35%)で、毛髪用剤1569億円(19・4%)、ビタミン含有保健剤1106億円(13・7%)と続いている。