eラーニングの提供を開始‐MR個人にも教育機会広げる
製薬企業向けにMR教育研修を提供する「医学アカデミー薬ゼミトータルラーニング事業部」(YTL)は、講師派遣による教育提供だけではなく、問題集やeラーニング、動画など様々な教育教材を連動させて、MRの学習環境づくりにも取り組んでいる。4月から新たなMRの導入教育がスタートしたのを受け、インストラクショナルデザインの考えを取り入れた「PERFECTシリーズ」を開始した。導入教育研修の効果・効率・魅力を高めるのが狙いだ。
MR100周年を迎える今年は、4月から新たな導入教育がスタートしたが、MRの教育現場では試行錯誤が続いている状況にある。当初は、受け身型から能動型の教育にシフトする中、詰め込み型の講義だけでなく、グループワークを活用する企業が増えていた。しかし、グループワークで芳しい学習成果が出なかったとして、講義も見直されている。YTLの平島光博氏は、「一時は教育研修を行う目的よりも手法が先行していたが、グループワークなどの新たな教育手法を一通り経験したことで、目的を考えた上での手法が選択されるようになったのではないか」と話す。
こうした中、MR導入教育のアウトソーシング受託で7割のシェアを持つYTLは、製薬企業の様々なニーズに対応した教育研修を提供している。4月には、インストラクショナルデザインの考えを取り入れたeラーニング「完全攻略Web」の提供を開始した。
「完全攻略Web」では、動画とテストをバランスよく組み合わせて使うことで、効果・効率的に必要な知識を身につけられる。まず総論部分の動画を見て、各論に入る前にテストを行う。そこで合格した場合には、講義を履修したと見なして次のステップに進む。不合格の学習者だけがその該当する内容を学習する。最初にテストで学習目標を提示し、その理解度を測り、知識が不足している分野から学ぶというユニークな手法を導入することで、効果・効率的に到達目標にたどりつくのが狙いだ。
さらに、「完全攻略Web」で学んだ知識を、実際の医療現場でも使えるスキルに高めていくため、グループワークなどの集合研修と組み合わせて能力開発を行う。平島氏は、「MRとしての能力を上げるためには、講義という手法が有効かもしれないが、学問的な知識についてはeラーニングや問題集などを活用した自己学習で対応できる。その分、MRのスキルや態度などを引き上げるような教育に時間や人手を回せる」と説明する。
新たな導入教育がスタートして5カ月が経過したが、成果の芽は出始めている。平島氏は「eラーニングと集合研修をブレンドする製薬会社も増えてきており、事例が出始めている」と手応えを示す。今後、製薬企業が自前で行う教育とうまく協業していきながら、YTLが事業ビジョンとして掲げる「MRの基軸教育」の実現を目指す。
一方、MRに対して広く教育機会を提供していく取り組みも進める。10月にはMR個人でも受講が可能なオープン講座を東京と大阪で開講する。東京会場は実際に講師が講義を行うが、大阪会場はその講義をライブ配信する手法をとり、MR個人でも受講可能な価格での開催を実現した。一人でも多くのMRの能力開発の支援を行っていきたい考えだ。
医学アカデミー薬ゼミトータルラーニング事業部
http://www.ytl.jp/