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日本製薬団体連合会の森田清会長は6日、都内で会見し、薬価制度改革について、「後発品の(使用促進によって得られた)財源を新薬(の評価)に回すことは考えていない。(後発品を財源にすることで)新薬の適正な評価ができるものではなかろう」と述べ、厚生労働省などから出ている財政中立を軸にした考え方を牽制した。その上で、「必要なものには投資することが大事だ。シーズを見つけていも、(日本では)上市できないという状況をバサッと変えなきゃいけない」と述べ、新薬評価の見直しは独立して検討すべきとの考えを示した。
日薬連は、傘下の団体に薬価制度改革に対する意見を今月15日まで提出するよう求めている段階。そのため森田氏は、「どちらも(製薬協の青木会長、医薬協の澤井会長も)よいことを言っていると思うが、一緒にした場合どうなるか」とし、「制度を二つ作るわけにはいかない。一つに収斂するため、コンセンサスをとることがこれからの仕事になろう」と説明するにとどまった。8月中にも日薬連案として公表する。
その上で森田氏は薬価制度改革のポイントとして、[1]イノベーションが評価され、それが促進的に働くこと[2]必要な時に必要な医薬品が提供されること[3]市場競争が透明性をもって機能すること[4]モラルハザードが発生せず、透明かつ公正な仕組み[5]社会的な無駄が発生しない効率的な仕組み[6]財政破綻せず、患者負担も増加しない安定した仕組み――を挙げた。
森田氏が牽制した財政中立の考え方は、厚労省の武田経済課長や製薬協の青木会長、中医協薬価専門部会からも出ている。森田氏は、新薬評価はコストではなく投資と捉えるべきとし、「中立ありきはいかがなものか」と述べ、日本での新薬アクセスを高める観点からも、新薬評価の見直しは後発品の使用促進と絡めず、独立して検討すべきとの考えを示した。ただ、特許切れ後は「よい後発品が出れば、(市場は)それに代わっていいと思う」と述べた。
大きな制度改革は、新薬を生み出す臨床試験インフラの整備などと並行して5年程度かけ中期的に行うものと表明。「その間にそれぞれの会社が行く方向をよく精査して、どういう事業体にするか考えてほしい」との意味合いもあると説明した。