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【2013年回顧と展望】流通改革の定着を目指す‐薬卸連専務理事

2013年12月26日 (木)

日本医薬品卸売業連合会専務理事 羽入 直方

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 異次元の金融緩和を第一の矢とするアベノミクスが進展し、デフレ症状が和らいできた。日本経済が「失われた20年」から甦りつつある。

 5月に日本医薬品卸売業連合会(薬卸連)の会長交代があった。流通改革の先頭に立った別所前会長から鈴木新会長がバトンを受け取り、基本路線を引き継いだ。卸業界が取り組んでいる流通改革第3ラウンドでは、「価格交渉の難航=妥結率の低迷」という産みの苦しみの中で、単品単価取引への移行が大きな流れとなった。来春の薬価改定後の価格交渉において流通改革の定着への道筋を明確に刻み込むことが望まれる。

 市場では、新薬創出等加算制度の試行的導入や後発品使用促進策の推進を契機として、長期収載品の後退、新薬創出等加算品や後発品の拡大に伴うカテゴリーチェンジが進行している。市場構造の変化に応じた取引環境の整備が必要である。

 川上取引では、総価取引による非合理的な価格低下を恐れて設定されている高仕切価・高リベート(割戻し・アローアンス)体系の改善が望まれる。川下取引の単品単価取引を推進するには、価値に見合った仕切価の設定、市場構造の変化に応じたリベート体系の見直しが必須である。

 カテゴリーチェンジは卸の収益構造を悪化させており、今年度上半期の卸決算を見ると増収減益のベクトルが働いている。単品単価取引の推進は、非合理的な価格低下を押し止めるが、新薬創出加算品が高仕切価・低リベートであるため、卸の粗利を低下させる。価値に見合った仕切価の設定による売差マイナスの改善、卸の販売機能を適正評価する割戻しの創設等が望まれる。

 メーカーの拡販キャンペーンは市場の攪乱要因となり、価値の陳腐化によらない非合理的価格低下をもたらす。アローアンス(販売報奨)の果たしている機能を再点検する必要がある。高仕切価による売差マイナスをリベートで補って卸の利益水準の調整を図るメーカー施策は、再販売価格維持「類似」行為という声もあり、改善が望まれる。

 川下流通では、「粘れば安くなる」という神話からの脱却が課題だ。「説得力のある価格の提示と真摯な交渉、価値に見合った価格の形成と納得による6月以内の妥結」を確立しなければならない。特に、公的医療保険制度において指導的地位にある公的医療機関や分業の進展により主要な購入者となった大規模薬局には社会的責任を自覚した購買姿勢が求められる。卸は、「流通改革=緊急提言の実現」が収益の確保に直結するビジネスモデルを追求する必要がある。


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