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【2013年回顧と展望】流通改革の定着を目指す‐薬卸連専務理事

2013年12月26日 (木)

 10月に来年4月の消費税率引き上げが正式に決定された。一方、巷間、薬価でも診療報酬本体と同様に損税が発生し、実損が生じているという誤った議論が横行し、真実であるかのような空気が広まっていた。「権威」を装う「専門家」が一知半解のままそのような「解説」を業界誌、ネット等で展開していたことは驚きであった。執筆責任をどのように考えているのだろうか。

 幸い、現段階では中央社会保険医療協議会(中医協)での議論、厚生労働省の説明、日本医師会の主張等もあり、薬価には「消費税相当分が加算されている」という理解がほぼ浸透していると考える。しかし、価格交渉の現場では卸MSの淀みのない説明が不可欠である。薬卸連は、医薬品では「消費税で損税は発生していません」というパンフレットをまとめ、各社の参考に供した。MSの教育・研修やユーザー説明のために活用され、消費税が確実に転嫁されることが望まれる。

 新型インフルエンザ対策等特別措置法が4月に施行され、薬卸連が国の「指定公共機関」に指定された。都道府県レベルでも、薬卸連の会員組織が「地方指定公共機関」の指定等を受けることが予定されている。東日本大震災でその存在感を示したように、新型インフルエンザのパンデミック時においても、卸は社会インフラとして医薬品を安定供給することが期待される。その使命を果たすため、既に作成済みの事業継続計画(BCP)の点検など準備体制の整備が求められている。

 後発品の使用促進は、公的医療保険財政の観点からの政策課題である。卸は可能な限りの協力をすることとしているが、障害は薬価の過剰なばらつきで、卸の倉庫では売上高8%の後発品が40%のスペースを占めている。後発品は、先発品と同等であり、銘柄としての独自性は低い。共同開発により1社が製造した同一品を複数社が別々の銘柄と薬価で発売している場合が多い。薬価基準制度の銘柄別収載原則の例外として取り扱うことには合理性があると考えられる。薬卸連は、中医協における意見陳述で「後発品薬価の統一名収載の拡大等」を要望した。

 10月に東京で第1回アジアパシフィック医薬品流通フォーラムが開催された。過去3回開催された日韓フォーラムに中国が参加し、名称が改められた。中国は草創期の課題を持ち、韓国は政策変更や中小卸の乱立に悩みが深い。彼らは日本の経験・情報を強く求めており、当日は活発な意見交換が行われ、有意義な国際会議となった。和気藹藹のうちに、2年後の次回開催地の韓国での再会を誓った。今後、日本卸や欧米卸のアジア進出、現地卸の成長等を背景にアジア市場のダイナミックな発展が予想される。

 各種の課題が山積するが、来年度の第一の目標は流通改革の定着である。公的医療保険制度のあるべき姿を見据えた関係者の努力が求められる。


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