ICT技術によって膨大なデータを集積し、そこで解析して得た情報を、医薬品開発初期段階から実臨床まで広く活用する医療分野での「ビッグデータ」に注目が集まっている。厚生労働省では、昨年成立した「マイナンバー法」と関連し、医療分野における番号の使い方や具体的な利用場面を検討するための議論をスタートさせた。医療システムの効率化や診療・医薬品開発環境を改善させる可能性を秘める一方、個人情報の取り扱いなどで、海外に比べると医療データベースの整備が遅れているのが現状。4日に都内で開催された「北里・ハーバードシンポジウム」では、産官学のそれぞれの立場からICTをいかに活用するかについて意見を交わした。
厚生労働省政策統括官付情報政策担当参事官室室長補佐の中安一幸氏は、「医療データの社会基盤が整備されれば、個人の医療・健康情報を収集・保存し活用できるPHR(Personal Health Records)や遠隔医療を実現できる」と強調。そのためには国策として、▽医療情報の電子化・標準化▽個人情報の取り扱いを定めた上での2次的なデータの利活用▽個人の健康状況を長期に追跡できるIDコードの作成――の3点に取り組む必要性を挙げた。
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