富士経済USA(ニューヨーク州、社長阿部静雄氏)は、「分子診断」の市場動向をまとめた。2011年には、06年の2.2倍の178億ドルに達すると予測。日本でも欧米と同様に、二桁の急速な成長が見込まれると指摘した。
同社は、分子診断市場を試薬やテストキットなどの、▽分子診断用消耗品▽診断装置システム▽臨床用分子診断ラボ・サービス””について分析した。
そのうち、最も市場規模の大きいラボ・サービスについては、年率18.2%の成長を遂げ、11年には106億ドルと予測している。調査に協力したメーカー経営陣の話では、単一遺伝子が関係する異常を検知する遺伝子テストが約900あるとし、「分子診断テストで診断可能な疾患が増えれば、医療分野でルーチンに分子診断テストが利用されるケースが増えると見ている」と富士経済USAでは分析。分子診断テストは今後主流になると指摘している。
地域別規模では北米が最大で63.5億ドル(年率13%)、日欧とも06年の約3倍の伸びが見込まれ、日本では14.8億ドルの見通しだ。
消耗品市場は、年率19.4%の成長を遂げ、11年予測は66億ドルで、北米が牽引し、三極とも二桁の伸びの見込み。装置市場は、年率21.4%の成長を遂げ、11年予測は5.28億ドル。
同社は、分子診断技術の開発トレンドについて、癌、HIV、HCVなどの感染症、アルツハイマー病など中枢神経系疾患の分子診断テストが、「今後5年以内に開発される流れが続いており、市場における勢いは強まり、その動きは今後長い間にわたって続くであろう」との見通しを示している。今後の成長のカギとなる要因として、高コストの改善、医療保険の適用などを挙げている。