電子カルテなど病院の医療情報を蓄積したデータベースを解析すれば、まれな副作用の発現頻度を明らかにできる――。堀雄史氏(浜松医科大学病院副薬剤部長)は4、5日に名古屋市で開かれた医療薬学フォーラム2015のシンポジウム「薬剤疫学:医療情報データベースの本格的な利活用」で、自施設のシステムを活用した研究結果をもとに、その有用性を提示した。同院を含めた10病院による大規模医療情報データベース「MID-NET」の試行が厚生労働省の事業として2015年度から始まる。18年度から本格的な運用が始まる見通しだ。
現在の副作用の自発報告制度では、投与患者の母数を把握できず副作用の発現頻度は分からない。レセプトに基づくデータベースとは異なり、検査値情報を含むことに特徴がある病院の医療情報データベースを活用することによって、▽副作用の発現頻度を解明できる▽同種同効薬間の発現頻度を比較できる▽副作用なのか病気の症状なのかを判別できる▽行政の安全対策措置が副作用低減に効果があったのかを検証できる――などの効果が見込まれている。当初の計画に比べ本格運用の開始時期は遅れているものの、「MID-NET」に対する関係者の期待は大きい。
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