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中央社会保険医療協議会「診療報酬改定結果検証部会」が10日、省内で開催され、後発医薬品の使用実態調査を除く2006年度診療報酬改定の検証結果が報告された。薬剤の使用量に影響を与える改定となった人工透析に伴う貧血治療に用いるエリスロポエチン(EPO)製剤の包括化では、使用量が減ることで懸念されていた臨床検査値への悪影響は見られなかった。また、特に予防、管理が難しい患者に対する褥瘡ハイリスク患者ケア加算(1回入院500点)に対する検証では、配置が求められる専従管理者にはベテラン看護師が充てられ、褥瘡のケア時間増、早期発見などの効果がみられた。チームによるケアも進み、薬剤師の参加も約8割に上った。
検証が求められたのは9課題。検証課題ごとに専門家や患者代表による調査検討委員会で検討され、8課題が報告された。検証結果は今後、中医協総会に報告され、必要に応じて次回改定論議に反映させていく。
今回の報告について厚労省保険局医療課は、「概ね当初のもくろみが達成されている」とし、緊急に制度の枠組みを見直すような内容はないと見ている。
EPO製剤包括化は、同剤を扱う中外製薬、キリンファーマといった主要企業の業績にも影響を与えるだけでなく、薬剤の使用量が減ることで貧血患者が増えることも懸念されていた。
1168施設の検証結果では、使用量を昨年1月と今年7月とを比較し、「減少した」が39・6%あったが、「増えた」も25・9%、「増減なし」34・5%と、対応が分かれた。調査検討委の報告では、1週間当たりの使用量が多い施設で減少傾向があるという。
患者の貧血程度を貧血の指標であるヘモグロビン(Hb)値とヘマクトリット(Ht)値の平均値で見たところ、値は使用量変更前後でほとんど変化していなかった。また、減少した患者群で貧血とされた患者は55.8%と、減少前より5.5ポイント改善していた。
ただ、使用量が増加した患者では、貧血の割合が12.9%増え、67.9%となった。この点は、EPOを増やして貧血が増えたのではなく、貧血があって、EPOを増やしたが、調査時点では貧血状態だったという例ではないかとの見方が部会では示された。
一方、褥瘡対策の強化策として導入された「褥瘡ハイリスク患者ケア加算」に対する検証結果も報告された。同加算は、急性期入院医療で、褥瘡予防や管理の難しい患者に対し、予防治療計画を立てて総合的な対策を打つ場合に算定できる。専従の管理者の配置も求められている。
119施設の協力を得て検証し、算定しているのは500床以上の施設が6割、200床以上も含めると9割に上り、比較的大規模な病院で算定されていた。専従の褥瘡管理者は1人で看護師、経験年数は15年以上のベテランが中心。管理者の配置は7割が昨年度に実施しており、加算の創設による影響がうかがえた。
加算届け出後の褥瘡対策チームによるカンファレンス頻度は、届け出前は概ね「月3回」程度だったが、届け出後は概ね「週1回」程度と増えた。チームに参加している医療関係職では医師、看護職員のほか、薬剤師が参加しているのは77.3%に上り、栄養士の90.8%に次いで多かった。
褥瘡リスクアセスメント、ハイリスク患者の特定も届け出前より大幅に増え、褥瘡発生率も1.6%から1.2%と減少傾向がみられた。
褥瘡管理者の配置効果としては、ケア時間の増加、早期発見件数の増加、職員の相談からの適切な対応に顕著な効果が見られたとの回答が寄せられた。
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