国策として「健康寿命の延伸」が位置づけられ、そのために不可欠とされるのが「セルフメディケーションの推進」である。昨年末にOTC医薬品購入に関する所得控除制度が税制改正大綱に盛り込まれたが、新税制の活用を促進するためにも、国民自らがセルフメディケーションを自発的に取り組もうと思わせる環境づくりの整備も急がれる。
現在、日本一般用医薬品連合会と日本製薬団体連合会が中心となって、生活者の積極的なセルフメディケーションへの取り組みに重要となる、“専門家の支援を得られる環境づくり”のために、薬局・ドラッグストアにおける検体測定室等の環境整備を支援していく活動がある。両団体は先月、検体測定室連携協議会の全面的な支援を受けて、第16回JAPANドラッグストアショーに臨時の検体測定室を開設したが、その結果(速報)がまとまった。
測定者は実質3日間で約1200人(ドラッグストア関係者、一般来場者含む)と、予想を上回る反響があった。測定希望者は男女ほぼ同数、年齢構成も若い女性から高齢者まで幅広い。検体測定室のブースでは多数の薬剤師有志が協力し、指先穿刺と血液採取をサポートしたが、今回のように5社10台の測定機器が備えられたのも初めてのケースだという。なお受診勧奨対象となるHbA1c6.0以上の人は、15.4%を占めたことも分かった。
ブースで対応した両団体関係者は、「簡単な指先からのセルフチェックで自分の体の状態を知ることにより、健康意識を高める良いきっかけになったと思われる。今回はHbA1cのみの測定だったが、脂質の測定を希望する人も見られた。身近な薬局・ドラッグストアの検体測定室でのセルフチェックと年1回の健康診断受診により、検体測定室が健康寿命の延伸に貢献できることを、今回のイベントで生活者に少しでも理解してもらえたのでは」と振り返る。
検体測定室連携協議会では厚生労働省医政局地域医療計画課のデータから、3月31日現在の検体測定室運営件数をまとめたが、全国で1204
件と漸増傾向にはある。しかしながら、地域別運営件数は100件以上の県もあれば、一桁台も多くあり、中にはゼロという県も見られる。実際に先のブースでは「多くの人たちから、自分の生活圏でどこに検体測定室があるのか知りたい」との照会があったという。一般薬連と検連協では今後、同イベントでの受診勧奨成功率(薬剤師の指導により診療に誘導できた率)を算出すると共に、引き続き検体測定室の理解促進と普及を支援していく考えだ。
なお、参加した多くの薬剤師からは「職能を発揮することができ、生活者と直に接することで距離感が縮まり、喜びややりがいを感じることができた」との声も上がっている。健康サポート薬局、街の健康ハブステーションとしてのドラッグストアを目指す上からも、検体測定室の重要性を改めて考えさせられる結果となった。