日本製薬工業協会会長 畑中好彦
昨年は、名目GDP600兆円に向けた成長戦略として「日本再興戦略2016」が閣議決定され、世界最先端の健康立国を目指す方針が示されると共に、内閣官房健康・医療戦略室による「健康・医療戦略」および「医療分野研究開発推進計画」の中間的な見直しでは、革新的な新薬・医療機器等の創出に向けた産学官連携の重要性が再認識されるなど、世界最高水準の医療の実現や経済成長の牽引役として、医薬品産業への期待が一段と高まる一年となりました。
その一方、昨年は医薬品業界のあり方が問われた一年でもありました。高額な薬剤が国民的な関心事となり、11月の中央社会保険医療協議会において対象薬剤の薬価緊急改定が決定され、それを契機に、診療報酬改定の一環として2年に1度実施されている薬価の全面改定を毎年実施するか否かに議論が及びました。
毎年の薬価全面改定は企業の競争力を一様に弱体化させるのみならず、革新的新薬の創出に向けての投資行動に負の影響をもたらすと考えます。
日本製薬工業協会(製薬協)は、「国民皆保険制度の持続」の観点を踏まえ、薬価制度の抜本改革に向けた議論に前向きに参画、協力していくと共に、イノベーションが適切に評価される仕組みづくりに向けた提言を行っていく所存です。
製薬協は、「イノベーション(革新的な新薬の研究開発)の促進による医療の質の向上、経済発展への貢献」を事業方針の最優先課題として掲げています。先進的な創薬を追求することで創薬イノベーションを実現し、日本をはじめ世界中の患者さんにその成果を届けることで、医療の向上、経済発展などで社会へ貢献していきたいと考えています。