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「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等のあり方に関する検討会」は、医療ミスによる死亡事故を「医療安全調査委員会」(仮称)に届け出る際の判断基準、行政処分のあり方などに関する基本方針案をまとめた。これまで、誤った医療行為が原因と疑われるケースも含めて、予期せずに起きた死亡事故の全てを調査委に届け出ることを医療機関に義務づける方向だったが、方針案では、届け出るかどうかの判断は医療機関に委ねることになった。行政処分は、医療従事者個人に加え、医療機関に対しても行う。処分内容については、医療安全に資するものにするため、「再教育や業務改善に重点を置く」ことになった。
方針案では、届け出の対象を▽誤った医療に起因して患者が死亡した事案▽誤った医療かどうかは明らかでないが、医療に起因して予期せずに死亡した事案――とし、これらに該当するかの判断は、各医療機関の管理者が行うとした。
ただ、医療過誤が原因と疑われる事例でも、医療機関が医療行為に起因しないと判断すれば、届け出しないケースも考えられるため、判断基準案では遺族が死因に疑問を抱き、調査委に調査を依頼すれば、原則として解剖を前提に調査できるようにした。
意見交換では、豊田郁子委員(医療事故被害者・遺族、新葛飾病院セーフティーマネージャー)が、「調査委に届け出るべきかどうか迷う医療機関は少なくない。事前に相談できる体制が必要」と指摘。辻本好子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)も、「今後の医療安全につなげるためにも遺族と医療側の歩み寄りは必要」とし、双方の相談を受け付ける体制の整備を求めた。
一方、医療機関に対する処分類型を医療法に創設し、原則として医療従事者個人にのみ課せられていた行政処分を、医療機関にも適用する方針を示した。医療事故は、システムエラーにより発生することが多いため、処分はシステムエラーの改善に重点を置いたものとし、再発防止につなげる。個人の注意義務違反などが原因で医療事故が起きた場合についても、業務停止などよりも再教育を重視した方向で処分を検討する。
これに対し、樋口範雄委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、故意または重大な過失、リピーター医師には、「免許停止などの厳しい処分もあり得る」としながら、医療安全に資する行政処分にするためには、「戒告や再教育などが原則になる」との考えを示した。豊田委員も、医療事故に関与した医療従事者の多くが医療安全への意識が高まる事例を紹介し、「再教育を受けて現場に復帰してもらいたい」とした。
- 【厚労省】医療事故究明する組織構築へ
2007年03月09日
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