川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンターの片岡一則氏と東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の横田隆徳教授の共同研究成果を引き継ぎ、血流脳関門(BBB)突破技術を用いた薬剤を実用化するベンチャー「ブレイゾン・セラピューティクス」は、製薬企業との共同研究を通じて、認知症などの中枢神経系疾患に作用する治療薬開発に乗り出す。グルコース濃度に応答して血中から脳内に薬剤を届けるBBB通過型ナノマシンを開発し、製薬企業が保有する高分子製剤や核酸製剤、低分子製剤などを内包して、標的分子への薬剤送達性を高め治療効果を引き上げる。既に数件の共同研究が始まっており、まずは脳梗塞や髄膜炎などの急性的な疾患や精神疾患などをターゲットに臨床応用を目指し、将来的には認知症治療薬開発にも挑む。
中枢神経系疾患の新薬開発をめぐっては、有効性が著しく限られる低分子医薬や、脳への集積量がわずか0.1%にとどまる抗体医薬など課題が多く、BBBを通過し脳へ高分子薬剤を送達する技術開発が必要になっている。
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