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■新制度で営業利益率適用
厚生労働省は新医薬品14成分21品目を、4月18日付で薬価基準に追補収載する。26日の中央社会保険医療協議会総会で、薬価算定組織の報告が了承された。内訳は内服薬が8成分14品目、注射薬5成分6品目、外用薬1成分1品目。今回は、他に類似薬がないため、8成分が原価計算方式により算定された。中でも、「リコモジュリン」は世界に先駆けて日本で開発されたこと、既存治療と比較しても、効果が高いことなどが評価され、平均的営業利益率の1・3倍に当たる25%が補正加算された。このほか、類似薬効比較方式(I)が「クレキサン」「タリムス」、同方式(II)が「ロナセン」「アマージ」「グレースビット」、規格間調整が「シングレア」「キプレス」に適用された。
■「リコモジュリン」が高い評価、「タリムス」に市場性加算(I)
今回は、2008年度薬価制度改革後の薬価算定基準に基づいて行われた。中でも、原価計算方式での営業利益率について、損益料と比較した場合の革新性や有効性、安全性に応じて、平均的営業利益率(19・2%)の±50%の範囲内の値を用い算定した。
プラス評価は、▽作用機序が新規▽革新性が高い▽既存治療薬がない患者に対して有効性が認められる▽既存の治療法に対して有効性が上回る結果が示されている――など、既存の治療と比較して、有効性・安全性が高いことなどが基準となった。マイナス評価については、有効成分が院内製剤などで利用されていることなど、革新性が低いなどを基準にしている。
ロナセン錠2mg、同錠4mg、同散2%(大日本住友製薬)は、ブロナンセリンを成分とする統合失調症治療薬。ドーパミン2受容体およびセロトニン2受容体に対し、強い遮断作用と高い選択性を発揮する。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が3800人で5・8億円、ピークの8年目が9万1000人で118・4億円。
アマージ錠2・5mg(グラクソ・スミスクライン)は、ナラトリプタン塩酸塩を成分とする片頭痛治療薬。従来のトリプタン系経口治療薬の中で、半減期が約5時間と長く、効果の持続性と再発抑制が期待できる。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が8000人で2億円、ピークの6年目が4万1000人で12億円。
レバチオ錠20mg(ファイザー)は、シルデナフィルクエン酸塩を成分とし、ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害という新しい作用機序を持つ肺動脈性肺高血圧症治療薬。有効性については、米国の使用ガイドラインでその治療が推奨されており、特にWHOの機能分類クラスIIでは、既存治療薬より推奨度が高いことなどを評価、営業利益率は23・0%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が1221人で15・8億円、ピークの4年目が1665人で21・5億円。なお、希少疾病用医薬品に指定されている。
ノベルジンカプセル25mg、同50mg(ノーベルファーマ)は、酢酸亜鉛水和物を成分とするウィルソン病(肝レンズ核変性症)治療薬。平均的営業利益率19・2%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が190人で3000万円、ピークの9年目が1000人で3・1億円。
ネクサバール錠200mg(バイエル薬品)は、ソラフェニブトシル酸塩が成分で、根治切除不能または転移性腎細胞癌治療薬。腎細胞癌に対する薬剤では、国内初の経口分子標的薬。有用性については、インターフェロンなど既存の腎癌治療薬と異なる新規作用機序を持つなどの革新性を評価、営業利益率は23・0%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が1657人で43・2億円、ピークの10年目が1965人で51・2億円。
シングレア錠5mg(万有製薬)、キプレス錠5mg(杏林製薬)は、モンテルカストナトリウムを成分とする気管支喘息、アレルギー性鼻炎の治療薬。アレルギー性鼻炎の効能・効果の追加に伴い、5mgを追加した。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が14・9万人で27億円、ピークの9年目が46・6万人で84億円。
グレースビット錠50mg、同細粒10%(第一三共)は、シタフロキサシン水和物を成分とする合成抗菌薬。対象菌種はシタフロキサシン感受性のブドウ球菌、緑膿菌等による咽頭・喉頭炎、肺炎、膀胱炎、尿道炎、子宮頸管炎、中耳炎など。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が27万人で10・8億円、ピークの4年目が106万人で43・3億円。
チャンピックス錠0・5mg、同1mg(ファイザー)は、バレニクリン酒石酸塩が成分で、日本初の経口禁煙補助薬。ニコチンを含まず、脳内のニコチン受容体に高い結合親和性を持つ部分作動薬として、禁煙に伴う離脱症状やタバコへの切望感を軽減する効果を発揮する。平均的営業利益率19・2%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が5万7000人で12・5億円、ピークの6年目が30万9000人で67・6億円。
クレキサン皮下注キット2000IU(サノフィ・アベンティス)は、エノキサパリンナトリウムが成分で、静脈血栓塞栓症(VTE)予防を目的とする抗凝固薬。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が1万6000人で4・5億円、ピークの10年目が8万人で22・1億円
リコモジュリン点滴静注用12800(旭化成ファーマ)は、トロンボモデュリンアルファ(遺伝子組み換え)を成分とする、世界初の遺伝子組み換えトロンボモデュリン製剤。有効性については、抗凝固因子として発見された蛋白質を遺伝子工学的に作成したもので、トロンビン活性阻害作用に加え、プロテインC活性化による血液凝固阻止作用を有する抗凝固剤として、世界に先駆けて日本で開発されたこと、既存治療と比較しても、効果が高いことなどが評価され、営業利益率は今回で最も高い25・0%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が1500人で5・1億円、ピークの8年目が3万4000人で102億4000万円。
アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液(大塚製薬工場)は、ブドウ糖、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム水和物などを成分とする新医療用配合剤。既存の製剤と比べて、革新的な新規性が認め難いと評価され、平均的営業利益率より低い18・2%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が1万人で6600万円、ピークの4年目が7万人で4億6300万円。
メドウェイ注25%、同5%(田辺三菱製薬)は、人血清アルブミン(遺伝子組み換え)が成分で、アルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)およびアルブミン合成低下(肝硬変など)による低アルブミン血症、出血性ショックを効能・効果とする。平均的な営業利益率の19・2%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が1万73000人で13・3億円、ピークの9年目が7万人で53・8億円。 タリムス点眼液0・1%(千寿製薬)は、タクロリムス水和物が成分で、春季カタルで抗アレルギー剤が効果不十分な場合を効能・効果とする。希少疾病用の医薬品指定を受けていることを踏まえ、市場性加算(I)が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が400人で4000万円、ピークの4年目が2200人で2億円。
ナグラザイム点滴静注液5mg(アンジェスMG)は、ガルスルファーゼ(遺伝子組み換え)を成分とする、ムコ多糖症VI型の酵素補充療法薬。平均的営業利益率の19・2%が適用された。企業が予測する患者数と販売金額は、初年度が3人で1億4800万円、ピークの10年目が5人で2億4700万円。
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