大日本住友製薬は、22日から統合失調症治療剤「ロナセン錠2mg/4mg、ロナセン散2%」(一般名:ブロナンセリン)を発売した。大日本住友製薬が創製した新規構造の統合失調症治療剤。
同剤はドーパミン‐2受容体およびセロトニン‐2受容体に対して強い遮断作用と高い選択性があり、セロトニン‐2受容体よりドーパミン‐2受容体に対する遮断作用が強いのが特徴。
臨床試験では、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)のみならず、陰性症状(情動の平板化、意欲低下など)に対する改善効果が示されている。
また、錐体外路症状の発現率は低く、体重増加や高プロラクチン血症等の副作用が少ない結果も得られている。
統合失調症の生涯有病率は0・8%で、わが国では100万人以上の患者が存在する。10代後半から30代前半が発症のピークで、発症率には性差がないものの男性は若年層での発症が多い。
また、統合失調症の原因・病態は、陽性症状はドーパミン過剰、陰性症状はドーパミン不足が原因とされる「ドーパミン仮説」が主流になっている。 ロナセンの主な特徴は、[1]ドーパミン親和性の高い初めての薬剤[2]第2世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)としての要件を備えている[3]強いドーパミン遮断作用により、幻覚・妄想などの陽性症状に対する効果が期待できる[4]バランスのとれた安全性プロフィールを有しているため、維持期治療にスムーズに移行できる――など。
ロナセンは、同社の非定型抗精神病薬ルーランと同様に、田辺三菱製薬の連結子会社で精神科領域に特化したプロモーション活動を展開する吉富薬品と共同プロモーションを行う。
大日本住友製薬は、精神神経領域を研究指向領域の一つと位置づけ、営業面でも専任MRを設け、将来のコア領域の一つとして注力している。同社の統合失調症治療剤には、ロナセン、ルーランのほかに、定型抗精神病薬のセレネースがある。
大日本住友製薬のCNS専任MRは80人、吉富薬品のMRは190人。今後は、両社で幻覚妄想の急性期にロナセン、維持治療期にルーラン(2001年より販売)の使い分けを促すプロモーションを展開し、ロナセンの早期最大化を図る。
抗精神病薬の国内市場は1200億円で、その80%が非定型抗精神病薬が占めるが、ルーランの売り上げ目標は、ピーク時(16年)120億円。