5月中にも施行へ
新型インフルエンザ対策の強化を柱とした改正感染症法と改正検疫法が25日、参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。新型インフルエンザの発生が懸念される中、発生直後の水際対策を徹底するため、感染患者だけでなく感染疑いがある場合も含め入院・検疫などの措置が取れるようにする。ワクチンや治療薬の研究開発の促進のための必要な措置、それら薬剤の早期承認に取り組むことも盛り込まれた。施行は法律上は公布の日から10日を経過した日だが、5月中にも施行となる見通し。
改正法では、H5N1型鳥インフルエンザを2類感染症に追加するとともに、入院措置などをとれる感染症として規定。都道府県知事は、感染が疑われる者に対して健康状態の報告や外出の自粛など感染拡大防止の協力を求めることができる。
検疫法の改正では、隔離・停留等が可能な検疫感染症に追加するほか、感染者を医療機関以外の施設でも停留できるようにする。
衆議院では法律案が修正され、無症候キャリアも感染患者としてみなすことや、ワクチンや治療薬の研究開発の促進のための必要な措置、それら薬剤の早期承認に取り組むこと、ワクチンの必要量の備蓄が加わった。
また、改正検疫法は、検疫所長が停留には及ばないが感染の恐れがある者について、入国の際に検疫所長が都道府県知事に通知することとした。さらに、航空会社への検疫業務に関する協力要請の規定も整備された。
衆参の厚生労働委員会では、▽抗ウイルス薬やプレパンデミックワクチンの備蓄増、▽細胞培養技術などを用いた迅速なワクチン生産体制の整備、▽ワクチンの副反応に対する医薬品副作用被害救済制度の活用の周知、▽全国民を対象に迅速かつ適切にワクチン接種ができるよう、薬剤師および保健師等を活用した迅速かつ適切なワクチン接種のあり方を検討する――など衆院14項目、参院12項目の附帯決議を行った。