国内でがんゲノム医療を推進するには、治療薬へのアクセスを改善する必要がある――。6~8日に京都市内で開かれたクリニカルバイオバンク学会シンポジウムでこの領域の研究者や医療従事者から、そんな課題が強調された。患者個々のがん原因遺伝子を調べ、有望な治療薬候補を抽出できても、治験薬だったり保険適応外の薬剤だったりして、治療を受けられなかったり、高い経済的負担を強いられたりすることが少なくない。今春から国内で始まったがんゲノム医療推進の枠組みを生かして、施設限定で既存薬の適応外使用を保険償還可能にする仕組み作りなどを今後検討する考えが示された。
がんゲノム医療は、患者個々のがん組織から遺伝子を抽出し、その変異を網羅的に調べた上で、それに応じた薬物療法を実施する治療法。がんの種類に応じて薬物療法を選択する従来の治療法とはアプローチが異なる。国内でも複数の医療機関でがんゲノム医療が始まっているが、一般的に遺伝子変異は高い確率で検出できるものの、現実的に薬物療法を受けられる患者の割合は1~2割にとどまるとされ、大きな課題になっている。
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