薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は4月30日、万有製薬が申請した新しい抗HIV薬「アイセントレス錠」など2品目を審議、承認することを了承した。アイセントレスは、HIVが宿主にDNAを組み込む際に必要な酵素であるインテグラーゼを阻害することにより、ウイルスの増殖を防ぐ新しい作用機序を持つ。HIVの薬物治療では同じ薬剤を使い続けると薬剤耐性ができることが多い。アイセントレスは既存のプロテアーゼ阻害剤や逆転写酵素阻害剤と併用することで、薬剤耐性にも対応できる薬剤として期待されている。
<審議品目>
▽アイセントレス錠400mg(万有製薬が製造販売):有効成分はラルテグラビルカリウム。効能効果はHIV感染症。オーファンに指定されており、再審査期間は10年。原体・製剤とも劇薬。既に約30カ国で承認されている。新規の作用機序であるため6月の薬事分科会で審議される。
▽ゾシン静注用2.25g、同4.5g(大鵬薬品工業が製造販売):有効成分はタゾバクタムナトリウム、ピペラシリンナトリウム(配合剤)。効能効果は敗血症、肺炎、腎盂腎炎、複雑性膀胱炎。欧米を含め94カ国で既に承認されている。再審査期間は6年。毒薬・劇薬の指定はない。6月の分科会で報告される。
国内ではβ‐ラクタマーゼ阻害剤であるタゾバクタムナトリウムと抗生物質ピペラシリンナトリウムの割合が1:4のタゾシンが既に承認されているが、世界的には1:8の薬剤が主流となっている。国内でも、より効果を上げるため、ピペラシリンナトリウムのみを追加して用いられることが多く、新たに申請された。
<報告品目>
▽フルダラ静注用50mg(バイエル薬品が製造販売):有効成分はリン酸フルダラビン。急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫において同種造血幹細胞移植の前治療を効能追加する。