ベンチャー支援の理解を求める
厚生労働省は10月10~12日に、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2018」(JHVS2018)を開催する。優れたシーズを持った医療系ベンチャーやアカデミアが実用化までたどり着けるように、大手企業やベンチャーキャピタル(VC)など支援者との出会いの場を提供することを目的に昨年からスタートした。90社以上が参加する見通しで、個別ブースでのPRや会場全体に向けたプレゼンテーションを全社が行うほか、行政や業界関係者によるシンポジウムを通じてベンチャー支援に対する理解を深めてもらう狙いだ。
欧米ではベンチャー発のシーズによる医薬品開発が珍しくない一方で、国内ではベンチャーやアカデミアが優れた基礎研究・技術を持ちつつも、実用化に到達できないケースが多い。この現状を踏まえ、厚労省はシーズの実用化を目指しているベンチャーやアカデミアと、それらを支援するパートナーとなり得る大手企業、VC、研究機関などとをマッチングできる場を提供することを目的に、昨年からサミットを開催している。
今回のサミットでは、前回から5割ほど増加した90社以上が参加する予定で、ベンチャーなど支援の受け手側が概ね7割程度、VCなど支援側が3割程度となっている。
出展者は個別ブースを設けて事業内容を展示するが、より積極的なPRを行ってもらうため、会場全体に向けて1分半のプレゼンテーションを行う機会を全ての出展者に提供している。さらに、事前審査を受けた人が5~10分間のプレゼンテーションを行う予定。ベンチャー支援に対する理解を深めてもらうため、行政や業界関係者によるシンポジウムも実施する。
会場では、創薬や再生医療などの分野で30カ国900社以上が参加して事業内容の展示やマッチングを行う「バイオジャパン2018」が同時開催されており、高い開発能力を持つ企業が多数参加するバイオジャパン参加者とも交流できる機会を作っている。バイオジャパンで使用している「パートナリングシステム」がサミットにも導入されており、事前に情報登録することでターゲットをより効率的に探索できる。同システムを活用することで、前回は418件のマッチングが成立し、1社で20件ほど成立させたケースも見られた。
前回参加者を業種別に見ると、医薬品・創薬、医療機器、創薬支援・製造受託が全出展者の半数以上を占めており、「資金調達に駆け回る非効率さが改善され、臨床医から開発の重要性を直接聞けて大変ありがたい」など、好意的な声が上がっている。
厚労省は「フォローアップもしっかりと行うので、マッチング成立後も継続的な関係を築いてほしい」としている。