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【製薬協】新薬価制度の具体案まとめる

2008年05月23日 (金)

関連検索: 日本製薬工業協会 新薬価制度 乖離率 研究開発費

 日本製薬工業協会が昨年まとめた新薬価制度案に運用方法や市場影響額の試算を盛り込んだ具体案が、明らかになった。新制度案の柱である、特許期間中にある新薬は薬価を引き下げない仕組みについて、全薬剤の加重平均乖離率を、当該薬剤の乖離率が超えない場合は「通常の薬価改定から除外する」とした。引き下げないことで企業側に生ずる財源を研究開発費に充て、より早い新薬の上市につなげるのが狙い。

 新制度案は、製薬協の上部の日本製薬団体連合会が昨年に中医協に提出し、中医協は検討課題としていた。厚労省は中医協で検討するため業界側に制度の具体化を指示。具体案は、製薬協の21日の理事会で了承したが、外部には公表していない。今後、日薬連の調整を経て、6月下旬の開催で調整されている中医協薬価専門部会に提出される予定だ。

 新制度案は、イノベーションの成果の適切な評価と、研究開発投資の促進による新薬創出が狙い。特許切れ後は、それまで引き下げなかった分を引き下げて、基本的には後発品に市場を委ね、後発品の使用促進につなげる考え。

 薬価を引き下げない仕組みを「エグゼンプト・ドラッグ」と称し、基本的には全ての新薬が対象(特許期間または再審査期間中の製品)。最長でも最初の薬価収載から15年以内とし、効能追加で再審査期間が延長となった場合も適用する。

 新薬価格の算定では、革新性を評価するため現行に似た補正加算を残すと共に、国際展開する製品で世界で2番目以内に上市されたり、世界で最初の承認から一定期間内に上市されたりした新薬に対する「グローバル加算」を創設する。

 全薬剤の加重平均乖離率より、当該薬剤の乖離率が大きくなった場合は、エグゼンプトから外れ、それまで引き下げが猶予されてきたことによって増加した薬剤費を、「その後の市場存続期間で相殺するように薬価を引き下げる」とした。エグゼンプトから外れると、以後は通常の薬価改定を受け続けることになる。

 それにより後発品の使用促進につなげ、一方で長期収載品の数量シェアを下げることで、市場全体のバランスをとる考え。その試算によると、新制度を2010年度から実施した場合、20年度までの11年間で、新薬市場は累計4兆円拡大するものの、後発品の使用促進で先発品市場は累計で11・4兆円縮小。一方で後発品の市場が5・7兆円(後発品数量がシェアを40%まで伸びる仮定)することから、市場全体では1・7兆円の縮小と計算した。エグゼンプトにより、実勢価をできるだけ下げない誘因が働くとし、市場全体として薬価差は縮小の方向に進むとの考えを示した。

 新制度案の基本姿勢として[1]イノベーションの成果の評価と活用により、いまだ十分な治療法が確立していない疾病のための薬剤の創出が活発化し、国民の利益最大化を実現する制度を目指す[2]新薬を創出し続けなければ、企業経営の存続が困難にとなることも覚悟した、業界にとって厳しい制度提案を行う――ことを打ち出した。

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