関連検索: 科学技術白書 国際競争 イノベーション iPS細胞
2007年度科学技術の振興に関する年次報告(08年版科学技術白書)が閣議報告された。白書では、諸外国の科学技術振興に向けた取り組みを紹介。人口の減少や少子高齢化が急速に進む日本が、今後の激しい国際的経済競争の中で生き残るには、科学技術でイノベーション(変革)を作り出し、生産性を向上させる必要性を指摘。日本が世界に先駆けて発見した新型万能細胞「iPS細胞」のような科学の成果に基づく産業を振興するほか、治験を含む臨床研究の推進などを挙げた。
中国では、科学技術を発展させるため、「改正科学技術進歩法」を制定。金融上の優遇措置や知的財産戦略に取り組んでいる。米国でも昨年、リスクの高い研究の支援や、理数系の教育推進を盛り込んだ「競争力法」を成立させており、科学技術分野の国際競争が激しくなっている。
そうした状況を踏まえ、白書では、「国際的大競争の嵐を越えなければ、今日の豊かで安定した国民生活を失う恐れがある」と指摘。国内総生産(GDP)の約7割を占め、雇用の約3分の2を占める第三次産業への研究開発投資を増やし、生産性向上を図る必要性を強調した。
その中で、ライフサイエンス分野におけるiPS細胞研究のような最先端の研究に対しては、実用化促進に向け、予算を重点的に配分すると共に、研究段階から知的財産の活用を見据えた産学官連携の取り組みが必要としている。
また、世界の医薬品売上高上位100社に占める日本企業の割合が1997年の14・2%から05年には9・2%に減少するなど、医薬品の国際競争力低下も指摘。革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略をはじめ、医薬品・医療機器に対する審査の迅速化や質の向上を図るため、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の新薬審査人員の倍増を目指すなど、臨床研究推進のための体制整備の重要性を挙げている。
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