自民党の社会保障制度調査会、雇用・生活調査会、厚生労働部会は27日、2009年度政府予算で社会保障関連予算の伸びを抑制するため2200億円を削減する政府方針に対し、「削減を行うべきではない」と撤回を求める決議をまとめ、近く政府に申し入れることを決めた。
政府は、財政再建のため2011年度までの5年間で社会保障分野を含め歳出を減らす方針になっている。来年度に向けても財務省や経済財政諮問会議では財政規律維持のために政府方針を堅持する方向で議論が進んでおり、財務省の財政制度等審議会では給付費の伸びが目立つ介護保険制度の見直しや雇用保険制度の国庫負担廃止などが検討課題として浮上している。
それに対し決議では、02006年度までに既に計1・1兆円の社会保障関係予算の歳出削減を行っており、現在さらに削減が求められ、「既に相当な国庫負担の削減となっている」と指摘。
加えて、基礎年金国庫負担割合を2分の1に引き上げるために国民負担を求めなければならない時に、「さらに社会保障の削減を行うことは、到底理解を得られない」とし、今後は財政再建努力は重要としつつも、「安定的な社会保障財源の確保に向けた検討と併せ、国民の安心を確保するための諸施策について所要の予算の確保を図るべき」とまとめた。
衛藤晟一厚生労働部会長は、記者団に対し、医療を含め社会保障制度が危機的な状況の中で、「ただ(予算を)圧縮するだけでは、国民生活が安心できるものにならない」と述べ、社会保障関係予算の削減方針が現在議論されている「骨太の方針2008」に盛り込まれないよう対応を求めていく姿勢を示した。
27日の会合で、薬の飲み忘れなど医療費の無駄に対するさらなる削減努力が必要との意見があったことに対しては、「無駄をなくすのはその通り」としつつも、それらの無駄を排除しても数百億円程度の規模にとどまるとして、「そういう議論をして、社会保障のこれだけ危機的な状況を改善できるかというと、ちょっと違う話」と述べた。
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