日本OTC医薬品協会会長 佐藤誠一

日本OTC医薬品協会では2015年に、25年におけるOTC医薬品産業のあるべき姿を示し、そこに至るまでの戦略を策定した「OTC医薬品産業グランドデザイン」公表しました。グランドデザインは団塊の世代が後期高齢者に達する25年までの計画ですが、昨今、後期高齢者がピークに達する「2040年問題」が注目されています。
当協会におきましても、40年の社会保障を見据え、人生100年時代、生涯現役社会の一翼を担えるセルフメディケーション、OTC医薬品のあり方の検討を開始しています。セルフメディケーション税制と共に、その中心となる活動が、セルフメディケーションの日の普及・定着と、セルフケア、セルフメディケーションの理念を示した基本法の制定です。
当協会は、毎年7月24日をセルフメディケーションの日とし、7月24日を含む週の月曜日から日曜日をセルフメディケーション週間と設定しました。昨年はセルフメディケーション週間の初日に当たる7月23日に、行政、アカデミア、メディア等の先生方をお招きして「セルフメディケーションは今、そして未来は」と題するシンポジウムを開催しました。
シンポジウムでは、「未病」や「健康リテラシー」等について議論し、セルフケア、セルフメディケーション推進に向けた課題を共有しましたので、今後の活動に生かしていきたいと考えています。
国策である健康寿命の延伸を実現するためにも、健康リテラシーを高める必要があります。医薬品や疾病に関する正しい知識に基づいて、いわゆる未病の領域と軽度な症状については、セルフケア・セルフメディケーションを実践できる環境を実現したいと考えています。
セルフケア、セルフメディケーションの理念を示した基本法は、「国民の健康自助努力推進奨励基本法」と仮称させていただいていますが、健康のために国民の自助努力を推進するための理念を示すことで、病気の予防と健康づくりの大切さへの理解を深めると共に、国民が生涯にわたって快適で自立した生活を送る社会をつくるための基盤になると考えています。今年から本格的にこの活動に取り組み、検討をスタートさせます。