日本医薬品卸売業連合会会長 鈴木賢
薬卸連の昨年を振り返りますと、何よりも流通改善ガイドラインへの取り組みが活動の中心となりました。厚生労働省の医政局、保険局の連名であり、国が主導して、医薬品の流通に関する積年の課題を解決すべく策定された本ガイドラインへの取り組みについて会員各社に取り組んでいただいたところです。流通改善の完成へ向けて「待ったなし」であることを改めて自覚し、身を引き締めてとりかかっている最中でございます。
このほか、偽造品の流通事案について、当面、速やかに対処すべき点に関する改正省令が、昨年、施行されました。引き続き、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において、さらなる課題として「医薬品卸売販売業者の規制のあり方」などについて、検討が進められています。薬卸連からも委員を派遣し、積極的に取り組んでいます。
さらに消費税増税への対応の議論も中央社会保険医療協議会を中心に議論がなされました。12月中に骨子案がまとめられました。その議論の過程において、薬卸連は業界の意見として次の2点を踏まえるよう意見を申し上げました。まず一つ目は、今回の薬価調査の趣旨を踏まえ対応いただくこと、二つ目に、薬価調査実施後に消費税を引き上げないことが決定した場合には、薬価調査の結果を活用すべきではないことであります。
さて、本年も引き続き流通改善ガイドラインへの取り組みが薬卸連のメインテーマとなります。今回示されたガイドラインへの取り組みは「前進あるのみ」であり、卸のこれからの立場を形作ることになるのではないかと思っています。これまでの商売のあり方を見直し、医薬品流通の透明性を社会に説明することが医薬品卸に求められている重要な部分かと思います。この部分が実現されてこそ薬価制度改革の本質的な改革が進み、日本の公的医療保険制度の充実とその継続性が高まっていくものと考えています。今年も薬卸連として最重要課題として取り組んでまいります。
また、今年の10月に実施される消費税の増税に伴う薬価改定への対応も私たちの重要な課題のひとつとしてあげられます。しっかりと医療機関、薬局をはじめとするお客様へ丁寧に説明を行うことで、スムーズな対応がなされるよう努めてまいります。