内閣府は6日、大学、研究機関、企業などの連携活動で大きな成果を収め、産学官連携の推進に貢献した優れた成功事例に贈る「第6回産学官連携功労者表彰」の受賞者を発表した。このうち、医療関係では2件が選ばれた。医療関係の受賞は次の通り。
厚生労働大臣賞:血栓性疾患関連酵素AMDAMTS13の活性測定法の開発‐国立循環器病センター研究所病因部の宮田敏行部長ら
経済産業大臣賞:高精度癌放射線治療装置の開発‐京都大学の平岡真寛教授ら
厚労大臣賞受賞の技術は、早期診断が困難な致死性の特定疾患「血栓性血小板減少性紫斑病」を診断するもの。発症要因となる血中酵素ADAMTS13の低活性を測定する簡便で迅速な診断を可能にした。海外も含めて多くの医療施設に普及することで、人々の救命だけでなく、医療費の軽減効果も期待される点が評価された。
経産大臣賞受賞の装置は、患部にピンポイントで放射線を照射できるようにし、放射線障害を最小限に抑えた。また、患部への位置合わせ時間を半減し、体力が衰えた高齢者にも適用できるなどの特性がある。三菱重工業が装置の事業化を推進し、平岡教授が患部判定法を実用化レベルにまで向上させた。
なお、今年度からは、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞の4表彰が創設され、従来の内閣総理大臣賞、科学技術政策担当大臣賞、総務大臣賞、文部科学大臣賞、経済産業大臣賞、日本経済団体連合会会長賞、日本学術会議会長賞の7賞と合わせ、計11表彰となった。今回、各大臣賞に16件、44人が受賞した。表彰式は14日に京都市の国立京都国際会館で行われる。