協和発酵は19日、RSウイルス感染症治療薬として第II相試験中のRNAi医薬「ALN-RSV01」について、米バイオ企業「アルナイラム・ファーマシューティカルズ」と、日本を含むアジア地域における独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結した。今回の契約には、将来、アルナイラムが開発するRSウイルス特異的RNAi医薬も含まれ、協和発酵は抗体医薬と合わせ、次世代のバイオ医薬品としてRNAi医薬にも参入する。
契約に伴い、協和発酵はアルナイラムに対し、契約一時金として1500万ドル(約16億円)、開発・販売の進捗に応じたマイルストーンとして最大7800万ドル(約84億円)を支払う。また、製品上市後には、日本を含むアジア地域におけるALN-RSV01の販売額に応じて、二桁%のロイヤルティを支払う。
これまで協和発酵は、経済産業省の「機能性RNAプロジェクト」に参加し、RNAの基礎研究を行っていたが、RNAi医薬の開発を手がけるのは初めて。
最も臨床開発が進んでいるRNAi医薬のALN-RSV01を導入することで、世界的な技術を持つ抗体医薬と共に、次世代のバイオ医薬品となるRNAi医薬を取り込みたい考え。また、自社の基礎研究も並行して進め、RNAi医薬の研究開発も強化する。
今後、協和発酵では、日本でALN-RSV01の第I相試験を開始していく計画で、早ければ2014年にも承認申請を行う予定にしている。
アルナイラムは、RNAi医薬の研究開発を世界的にリードしているバイオ企業。5月には、武田薬品が癌領域と代謝性疾患領域を対象に、RNAi医薬の共通基盤技術に関するライセンスと共同研究契約を締結しており、RNAi医薬の開発に向けたアルナイラムとの提携が活発化していた。
既に国内では、日本新薬がRNAi医薬の独自技術開発と共に、ショートヘアピンRNA(shRNA)の開発を進めるなど先行した動きを見せており、ライセンスアウトを含めた実用化を視野に入れている。